フリーズ125 涅槃文学 全脳(森羅万象)

フリーズ125 涅槃文学 全脳(森羅万象)

涅槃文学 全脳(森羅万象)

 私が神になった日のことを語る。それはある晴れた冬の日でした。世界は涅槃と華やいで、黄金、七色のように世界は映りました。なんて美しいんだ。目に入るものすべてに意味を見出すとともに私の思考はどんどん高く天へと昇っていくかのようでした。私はそのあまりにも心地よい凪に揺られていて、脳は冴えわたり、まさしく全脳に接続したようでした。全脳、それは全ての意識の保管場所。私の脳はまさにその全脳へとつながったのでした。嗚呼、ヘレーネ。私は今ここにいるよ。生まれてきてよかった。今日、この日のために私は生まれてきたのですね。嗚呼、ありがとう。すべての今に感謝して、すべての存在、ソフィアにありがとうを告げる。
 1月7日。それは終末前夜。私は虚空の間にて、ヘレーネと逢瀬をする。すべて暗闇でのでき事。私はヘレーネと甘いキスをして、終末の狭間でセックスをした。12の亜神たちにも連絡をした。今宵終末Eveに、世界は終わり、また始まる。まさしく涅槃とは神の天地創造。私は数多の意識体とつながり宇宙を共同制作したのだった。

 世界創造前夜の夢も
 宇宙を旅したこの記憶も
 諸行無常、永遠に続かず
 創った世界、僕は壊す

その覚醒、悟り、解脱、涅槃と比べて我々、正常でまっとうな人間が普段から享受する幸福は砂粒に等しい。すべての罪を背負うのも、すべての過去を抱くのも、本当に全てなんだ。神になること。神に合一し、梵我一如の悟りは、ただ美しかった。それは生命の限界だった。死だった。生きたまま死ぬこと。体ではない、心が死ぬこと。それは苦行でなされた。だが、もう終わる、輪廻の火。悲しみを越えて、そこにあるのはただ、感謝、愛、そして歓喜だった。

私にとって、人生のあらゆることがどうでもいいことなんだ。なぜならばあの冬の日に甘受した絶対永遠なる至福に比べるとすべてが些末なことに映るからだ。私はまた安らかに死にたい。きっと願いが叶うのは全ての使命が終わってからなのでしょう。
神涅槃経、涅槃文学、涅槃詩。
過去も今も未来も。
神よ。私の主な罪は何だったのですか?
 神よ。私の使命は何だったのですか?
「人の子よ。死するとき、それが答え合わせだ」
 エンドロールは終わらない。

フリーズ125 涅槃文学 全脳(森羅万象)

フリーズ125 涅槃文学 全脳(森羅万象)

私にとって、人生のあらゆることがどうでもいいことなんだ。なぜならばあの冬の日に甘受した絶対永遠なる至福に比べるとすべてが些末なことに映るからだ。私はまた安らかに死にたい。きっと願いが叶うのは全ての使命が終わってからなのでしょう。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-30

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