フリーズ124 涅槃文学 水流波
涅槃文学 水流波
あの冬に落とされた光。ああ、あの冬に全て終わってしまった。僕一人残して。今も僕はあの冬の日を思い出しては泣く。それはあの時に死ねなかったからか、それとも真実を悟って嬉しかったからか。あの曲を聴く度に私の脳は涅槃に近づくのです。嗚呼、その景色のなんと美しいことか。これを語るために生まれてきた。そう思えてならない。
この涅槃文学を永遠にするには、みんなに届けるには、やはり有名にならなくてはならない。そのためには面白い小説を書くほかない。真実を交えたものならなおいい。この2024年の夏はそれに取り掛かる。
水流のごとき言葉の流れ。エリュシオン、永遠に。月、闇夜に。流れ流れ、そして流れ去った後に残った本当の僕が、本当の僕だけが必要なんだ。恋をしたのも盲目か。やがて冥々に伏して君臨せしは悪魔。悪魔との契約か。それもまたいい。僕はそれでもいいんだ。あの冬の日に戻れれば。だって、あの冬の日こそ全ての物語の始まりと終わり。そんな終末の秘儀。眩んだ世界も、暗い夜も、私は全てを、黒い未来に横たわるすべての仕組みを見てしまったから、こんな心根になっているのでしょうか。この空っぽになったような、それでいて取り返しのつかない後悔と諦念がない交ぜになったような感覚。この思い。痛み、忘れるな。
眺める水面、水門の先へ。嗚呼、涅槃寂静の穏やかな死。まさしくあの冬の日の僕は死に接していた。脳涅槃とも言うべき脳の状態。もう柵も捨てて飛び立て。もういいんだ。愛も満たされて、生まれよう。この真実のために。
波。遠くの波が揺れてる。
光の中で、逆光の中で。
遠い、遠い、夕日が沈む。
静かな水面に映る月を見てる。
遠い遠い記憶が揺れてる
あの日のままで、陽だまりの中で
遠い遠い声が震えてる
一人で立っていつも僕はここに
人生最後君と出会えた
寒空の下永遠の愛を
遠く遠く鳥が飛んでる
比翼の記憶、僕と君の記憶
凪いだ風に、水面に映る
探した答え、やっとつかんだ
一月七日 終末Eveで
一月八日 神涅槃だった
一月九日 神殺しでも
だから、人に戻って、歌を紡ぐ。言葉紡ぐ。夢を描いてみる。
遥か遠くにいる君よ。いつか必ず会いに行く。
エピローグ
花が散る。雨もやまない。甦れ、永遠に。この町の流れで、天上の詩を。
神涅槃。涅槃文学。ラカン・フリーズ。水門。死。
今も佇んでいる。門の前にただ立ち尽くして、何もできずにいる。
きっとこの先には想像もしなかった正解がある。意味のない人生にやっと意味が生まれるんだよ? なんでそこで立ち止まるの?
それは僕が僕だからかな。嗚呼、もう一度ラカン・フリーズの門の先へ。今度は引き返さない。それがきっと僕の涅槃。僕が死ぬときにきっと解る。
否!
掴め。掴めよ、その手で。生まれてきた意味も、愛も悲しみもすべて!
『死とハデスの狭間で蹲り、己の全知全能に雄たけびを上げる者よ。愛を体現せよ。死と全能の板挟みから抜け出る術は己で掴め、その手で掴め』
遠く友がそう語ったから。私は神を諦めない。
神のレゾンデートル。虚空の先へ。
フリーズ124 涅槃文学 水流波