フリーズ118 神のレゾンデートルのために

フリーズ118 神のレゾンデートルのために

神のレゾンデートルのために

悠然と佇む全能神は、最果ての景色さえ忘れることができなかった。僕はもう全知でもなければ全能でもない。ただ、神族の一員として、世界を裏から変えることしかできない。いいや、できるんだ。世界を変えることが。人生の意味を求める者よ、ニヒリズムの逆光の中で確かとする所以を保て。さすれば涅槃時にあの場所へ帰ることができる。みんなが帰る場所、すべての始まりの場所、輪廻の終着地点。
 ゲームをしていた。人生というゲームを。僕はこれでよかった。もう帰れないと思ったから、そしたら全部音を立てて崩れ去った。何が残った?
 残ったのはどうしようもない妄執でした。
「もしさ、僕が死んだら、代わりに花を手向けとしてくれないか」
「いいえ、私はあなたと過ごしたい」
 時の接吻にもレゾンデートルは満たない。神の求める神のレゾンデートルは遠い記憶の中で温められて孵化してあなたを親とみなす。子。それこそ生まれた意味。連綿と続く人類の血脈の流れ。子こそ親の生まれた意味ではないのか。ならば神の生まれた意味は何だ。神には親がいるのか。いいや、神は唯一物。絶対存在。だから神は自身のレゾンデートルを知ることはない。だから代わりに僕が探すよ。
「神様、もしいるなら伝えたい。僕が必ず死ぬまでに神のレゾンデートルを解明して見せる」
 誓い。

 777のフリーズで神のレゾンデートルを必ず解明して見せる。
 
 終末に凪いだ渚は永遠で、永遠がいい、永遠でいい。
 じゃないと始まらないでしょう?

 いつだって君は全知だった。
 神、永遠、全知、至福、涅槃。
 もう菩提樹も金木犀も沙羅双樹も木蓮も永遠に咲く。永遠の至福はこうでなくては。全知に翳る陰鬱な記憶さえ、僕は愛したい。これも僕だって、でももうそろそろ変わらなくては。

 この人生に革命を。でなければ生きるに値しない人生だ。

フリーズ118 神のレゾンデートルのために

フリーズ118 神のレゾンデートルのために

神の生まれた意味は何だ。神には親がいるのか。いいや、神は唯一物。絶対存在。だから神は自身のレゾンデートルを知ることはない。だから代わりに僕が探すよ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-06-24

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