お母さん
最後に、泣くのは、ボクだよ。
I
「ゆりちゃん」
「ゆりちゃん」
学校に行きたくない。
最近
中学一年生の夏
「ゆりちゃん、今日でも、学校、行こう?」
「嫌だ。」
「何で?」
「嫌だから」
「嫌なの?」
星野先生は、
「学校に行きたくないんだね?」
「・・・」
「はい」
「無理に行かなくともいいよ。」
お母さんは、違うことを言っていて。
学校に、いちいち電話するのが、嫌な様子で。
鼻血で、学校を休もうとしたり。
II
お母さんのことは、その時、あまり好きじゃなかった。
私の、時計が、どうにかなるまで。
(死んでしまいたい)
誰も、話せなかった。事実
(この世界にいる時、誰も死ぬことは、ないんだよ?)
(生き《い》ていて、嬉しかったことを、いっぱい、集めようね?)
不登校になってから、お母さんと、ちょくちょく、散歩
星野先生も、ちょくちょく、わたしの家に来て、お喋り《しゃべ》した。
そして、
星野先生は、いつも、プリンを買ってくれた。
嬉しかったけど、多すぎて。
食べれなかった。
III
お母さんのことが、実は、キライだと、星野先生に話した。
星野先生は、「そうかい。」
「お母さんが、キライなんだね?」
「・・・」
「はい。」
「そうです。」
その時は、そうだった。
そして。
IV
さようなら。
星野先生は、わたしに。
「宇宙人かあ。」
「よっぽど難かしい、話をしてるね。」
「相対性理論」《そうたいせいりろん》かね。
宇宙に留学するんだね?
星野先生は、笑った。
お母さん
いつまでも、こころを、強くもって!!