母胎
死に似せられて、生をひといきで孕んだ。泥濘のてかり。果てしない性だよ。沸々と、秘めている。発生するために母胎があるなら、眠りに誘うといいのだった。わたしの肉欲は争わない。陰で犇めいていると、啄むというだけだ。外界にだけ、光がある。母は知らない。
欲望といわれたものだけが包まれる布に、母はいなかった。なにもかもが交わって、去っていく。死者は産まれたい。わたしも産まれたい。胎児から、くらやみが滲んでいる。母は知らない。
出力を生命力とされて、母は発狂する。死に似せられているから、華美のうちに失意がある。生死のために、愚かがある。それが、光りになる。光がある。
母胎