野川

鯉が
いる
ゆすら
ゆすら
いる
のに
繁殖しているのか、知らない
うた を、
体外で、ひそめている 熱をためて 肌は発明しようとする たんじゅんなことだけれど、子どもはいずれ産む、
から
産卵を見ておきたい

川に沿った
わたしたちは
いずれ
川から外れて
みなもとを
ほどかずに
還っていく
(子どものいない日々だね)
そう
わたしたちは
繁殖しているのか、知らない

うた は、
静かにそこにいる
流れて
とどまって
わたしたちと
ともに
ゆすら
ゆすら
いる
その
うた、を
わたしたちは
産む
産まない
風みたいに
みえ
みえない
うた を
おいでおいで して
お互いに
して
いずれ
して
ゆすら
ゆすら
産む

野川

野川

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-10

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