日本が、眩しいほど輝いていた頃

日本がまぶしいほど輝いとった頃



『ジャパン・アズ・ナンバーワン』っちゅう本をご存じやろか?
(原題:Japan as Number One: Lessons for America)は、社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書や。 

 70万部を超えるベストセラー本や。日本経済の黄金期(1980年代の安定成長期)を象徴的に表す語。当時の日本人の数学力はイスラエルに次ぎ2位。1日の読書時間の合計が米国人の2倍に当たった。 

■米国の人気職業1位は「データサイエンティスト」 。日本は「ユーチューバー?」
 米国では、10年ほど前から数学関連が人気職業になってる。米求人情報サイトのキャリアキャスト・ドットコムの2021年版「ベスト・ジョブ」ランキングでは、ベスト10の1位は、ビッグデータを分析してビジネスやらに活用する「データサイエンティスト」。「統計学者」(3位)、「数学者」(5位)が続き、10位のうちの半分以上を数学関連が占めた。2009年と14年には「数学者」が1位になった。

 うちの塾生の一部の子ぉは
「数学なんか社会に出ても何の役にも立てへん」
 と、うそぶいてる。ほんで、ゲームに夢中になってる。ゲームの基礎は数学やと知れへんねん。数学がなかったら、ゲームはこの世に存在してへんのに。 

 日本の企業が韓国や中国企業との競争に敗れて身売りするハメに陥るなんて、当時は想像すらでけへんかった。コロナ騒動になって、日本にはワクチンを開発する企業があれへんことに気づき外国企業に「売ってや!」て懇願する始末。

 給付金を配ろうとしたら、他の先進国やったら翌週には配り終えてるのに日本のお粗末なIT環境では2か月先。倒産してから給付金を配っても遅いでなあ。 

 今年9月にスイスのビジネススクール「IMD」が公表した2021年の「世界デジタル競争力ランキング」によったら、日本の総合順位は28位で、18年以降、右肩下がりが続いてる。1位は米国やけど、日本は韓国(12位)、中国(15位)、マレーシア(27位)やらよりも低い。

 日本はデジタルに関しては、先進国から滑り落ちてるわけや。その理由は受験指導の現場にきたら、すぐに分かる。


 日本は同調圧力がえらい高い国や。「変わった人」を排斥しようとする。数学力を発揮する人は、世の常識にとらわれへん「変わった人」が多い。クセの強い人が多い。米グーグルは変わった経歴の人を積極的に採用してる。「けったいな人」が救世主になること多いこと分かってるさかい。

 評価する側の力も問われるけど、日本の教師、教育委員会、文科省にはそうした人材がおる思われへん。

 教師は凡才の方が多い。天才的な才能のある生徒の指導はでけへん。日本には才能豊かな中学生や高校生が多い。


 第62回国際数学オリンピックは7月18日から24日まで開催された。日本チームはホテルコンチネンタル府中(東京都府中市)に滞在して大会に臨んだ。107か国・地域から619名が参加し、日本からは6名が代表として参加。金メダル1つ、銀メダル2つ、銅メダル3つを獲得し、国別順位25位の成績を収めた。


 金メダルは、開成高等学校3年生の神尾悠陽さん1名。銀メダルは、灘高等学校2年生の沖祐也さん、筑波大学附属駒場高等学校3年生の床呂光太さんの2名。銅メダルは、東大寺学園高等学校3年生の吉田智紀さん、灘高等学校3年生の小林晃一良さん、麻布高等学校2年生の井本匡さんの3名が獲得した。be

 そういう天賦の才能のある少年、少女は画一性を嫌う。そんな生徒たちに、教師は
「同じ服を着ぃ、同じ靴を履け、同じ髪型にしろ、同じ髪色にしろ、同じ下着を着んかい」
「部活は強制やねん。黙って従わんかい」
 こんな教育は、才能の芽ぇつぶすだけ。もちろん、賢い子ぉたちはそんな学校には通いたない。 

 数学オリンピックでメダルを取るような子ぉの在学校を見てくれへん。開成高等学校、灘高等学校、筑波大学附属駒場高等学校、東大寺学園高等学校、麻布高等学校。自由な校風で知られる超進学校ばっかり。

 けったいな教師に才能の芽ぇつぶされたない人は地元の中学校や高校を避ける。大人になると“頭脳の流出”が起こる。

 戦後の混乱期から高度経済成長、バブルの頃まで日本はこんなガチガチの管理教育の国やなかった。学級崩壊、イジメの多発の頃から非行少年を基準にして縛り付ける「ブラック校則」「ブラック部活」が日本中に広がってもうた。 

 長年「落ちこぼれ」対策にばっかり時間とエネルギーを費やしてる間に「浮きこぼれ」の子ぉたちは見捨てられた。本人たちはそう感じて、公立校から私立校へ大移動が始まった。ほんで、今は日本からアメリカに大移動が始まりつつある。 


 このままでは、日本は有能な人材の数では韓国や中国に対抗でけへん中身がスカスカの国に転落していく。うちの教えさせてもうている賢い子ぉたちは口をそろえて
「こんな国は出ていく!」
 言うてますで。

 気づいてる人はおるらしゅう、学園ドラマも「スクールウォーズ」や「ごくせん」ていった不良のドラマから「ドラゴン桜」や「2月の勝者」のような受験モノに移行しつつある。

 そうなねん。非行少年がヒーローの社会は歪んでる。開成や灘。東大や京大の合格者がヒーローになる国でなかったら、金銭的にも報いられな日本から有能な人材は消えてまう。 

 2022年は、日本の夜明けぞ。

「日本を今一度、洗濯いたし申し候」  by 坂本龍馬

日本が、眩しいほど輝いていた頃

日本が、眩しいほど輝いていた頃

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-15

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