フリーズ69 神愛交響詩『ソフィアノート』

フリーズ69 神愛交響詩『ソフィアノート』

親愛なる姫へ

お前たち人間は美しい。
時に祭りで笑わせてくれるし、
時に生娘をくれる。

だが私の一番望む者はそんなものではない。

私はお前のことをずっと愛している。
これまでもこれからも。

だが、頼む。私のもとより去らないでくれ。

王も皇も法も神も、皆一人なのだ。
神故に私はいつも孤独である。

だから頼む。もう、一人にしないでくれ。
信じて裏切られる。

お前たちはいつだってそうだ。

「神よ、主よ、我の望みの喜びよ。」を作ったバッハでさえ、

神には至らない。

184億年に一度の邂逅を

一年に一度しか逢えない七夕の王子と姫も

宇宙の始まりと終わりでしか逢えない僕とヘレーネよりも

184億倍逢ってるね。

僕の今付き合ってる姫は何日耐えられるかな?
どうだろう。
もし不倫してたらその時の僕は
どう感じているだろう。

愛故に苦しむのなら、いっそ
でもね、大丈夫。皆幸せになれるから。

愛だけは捨てないでね。

どんなに辛くても、受け入れろ。

どんなに痛くても生きなさい。

川の流れに逆らおうとするから海へ行けず大変なんだ。人も魚も同じ。水がないと生きられない。

全ての命に水を与えてくれ。
地水火風空
呼吸法
そんなのはフィクションだろ。
断眠、断食、とにかく禁欲しろ。
節約しろ。そしていつかは悟っても
自殺するな。辛い真実でも
生きろ。

人を愛して、一生かけて、
ずっと、何をされても
何を言われても
じゃないといつまでも
だから先に進め。

親愛なるフィニス

世界の終わりに餓死する訳でもない

冴えない君の横顔は美しかった

そしたら、亡きがらとなった姫を植えて、一輪の花を咲かせた。

埋めた土に咲かせた。

フィニスの刻は皆に音ズレる

世界の終末日、ある少年は立ち上がって、
ナイフ、否。銃、否。武器、否。

じゃあどうやって起死回生?

ペンとノートだ

ラスノートは最期の言葉

散々と人を愛してくれ。醜くても。病気でも、愛せたら。
夫婦の愛も、兄弟姉妹の愛だって。
今では愛の火炎は風前の灯。
神愛は太陽のように暖かく優しい。

ラスノートは禁書
終末が書かれている。

あと30分と少しでフィニスの刻
なら、お前はなにをする?
私なら自殺する。
世界で一番美しい自殺を、楽園の花々に包まれて。

どうせだれも理解してくれない。
30分でセックスをする男女。
美しく終わろうとメイクする乙女。

神は賽を振る

確かに一歩進んだ。
あとは神の記憶を持った少年次第。
神はもう期待などしてくれない。
だが、いま、君に期待している。
がんばれ!
朝も昼も夜も

終末の響きよ

愛ゆえに人は死す。
ならば、愛無き世界にしてやろう。
嫌か? 楽だろう、失う心配がなくなる。

それで人々は愛し合うのをやめた。
百年が過ぎた。;人類は滅亡した。
ただ、平野に花だけが咲いていた。

神詩

子どもが夢見ていいのに
どうして大人が夢見ると笑われる?
我慢しろ。爆発は芸術で為せ

神の怒り

全生命よ、今この今を生きていけ
ニーチェの後を追うな
一緒に本でも買いに行こう
世の中には良い本の方が少ない

見極めろ
この文章もだぞ

花鳥風月の十二刻
死にたがりは要らない。
何も悪いことじゃない。

四字熟語

自業自得。まさにそんな人生だった。神様がもしいるなら、適材適所、私にふさわしい仕事を与えてください。私の人生を順風満帆にしてよ。
だが、暗中模索で試行錯誤の日々は続く。
「なんて前途多難な人生なんだ! 私の書く小説は意味がないのだろうか。弱肉強食の世界だからか?」
「それは事実無根よ」
「え?」
人の声がしたかと思えばだんだんあたりが昼なのに暗くなって来た。日食が始まったのだ。天変地異の中、私は愚かであった。今までの私なら馬耳東風だった幻聴が、いまは以心伝心で仏や神と繋がっているみたいだった。そうかあ、私もやっと。

「神代さん、しっかり」

妻がいた。ODを二人でしてしまったのだったか。なぜまだ生きている?

「危機一髪のところだったのよ」

泣きながら語る妻。今生きているのは夢の名か?
死後か? 半信半疑な俺に妻は語る。

「恋のキューピッドを夢で見たの」

「恋のキューピッドの矢は百発百中。私たち試練を乗り越えたの。あとは晴耕雨読の生活をするだけよ」

はっとした。
私は遠い昔、おじいちゃんが語っていた言葉を温故知新する。

『人生右往左往するときもある。だが、いつだって油断大敵だぞ』

起死回生の言葉はおじいちゃんのことばと妻の言葉。

自画自賛すれば気持ちいいか?

悪人どもを、虫けらどもを、一網打尽にできるか?

喜怒哀楽、前代未聞。電光石火の神の怒り。

天雨来たりて、故に

無我夢中に我はピアノを弾く
月の光、月光

もしそれが内在せしイデアだったら

人を愛せ

石ころも磨かれて、人それぞれの輝きを得る
そういう世界になるさ

フリーズ69 神愛交響詩『ソフィアノート』

フリーズ69 神愛交響詩『ソフィアノート』

お前たち人間は美しい。 時に祭りで笑わせてくれるし、 時に生娘をくれる。 だが私の一番望むものはそんなものではない。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-19

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 親愛なる姫へ
  2. 184億年に一度の邂逅を
  3. 親愛なるフィニス
  4. ラスノートは最期の言葉
  5. 神は賽を振る
  6. 終末の響きよ
  7. 神詩
  8. 神の怒り
  9. 四字熟語
  10. 天雨来たりて、故に