ぼくは、18歳の時にノイローゼで入院させられた

ぼくは、18歳の時にノイローゼで入院させられた

 うちゃ1975年の、名古屋大学の入試の5日前に突然手足がしびれて、自分の勉強部屋でひっくりかやってしもうた。ほいで、そのまま近所のいなべ総合病院に担ぎ込まれ入院させられた。診断名は、「勉強しすぎのノイローゼ」。

 そねーなんがあるんじゃのぉ。

 自覚症状がまったくなかったんじゃけど、精神的に追いつめられちょったらしい。そんで、考えてみたんじゃけれど思い当たるこたぁあった。そりゃあ、数学の勉強のやり方。
 英語や社会やらの暗記が主体の勉強は苦痛にならだったけど、数学は違うた。

「余弦定理を使うてABの長さを求める」
 は、分かっても
「あれ、余弦定理はなして成り立つんじゃっけ?」
 と考えてしまい、入試までに2000題は解かんにゃあならんちゅうノルマがぜんぜん達成できん。その末の入院じゃけぇ、トラウマが残ってしもうた。

 それから30年近う数学から離れることになってしもうた。そんで、大学を卒業後は英語講師として生きていくことにした。

 1082年にアメリカのユタ州にあるローガン中学校で教師をして、帰国後に英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級やらに合格した後、夜は自分の塾、昼間は名古屋の大規模予備校や専門学校で教えることになった。もちろん、英語講師として。

ところが、塾生の子たちから
「高校に入学後も、この塾に来たい。高校数学も教えてほしい」
 ちゅう声が出始めたんじゃのぉ。地方にゃあ高校の内容を指導できる講師がおおかたおらん。近くの塾の看板を見てほしい。多いくは「小学部・中学部」て書いてあるはず。大規模塾は、高校生を指導できる力のあるベテラン講師は都市部にある本部から離さん。

 じゃけぇ、東進が
「うちならDVDを使うて、地方におっても東京の講師の授業が受けられる」
 ちゅうキャッチフレーズを使うたとき、それなりに説得力があったんじゃ。じゃけど、それもYoutubeで同様の授業が全国どこでも無料で見られるようになったけぇ、もうビジネスモデルとして通用せん。

 うちも少子化が進み、バブルがはじけた頃に考えてしもうた。子供たちの学費は稼がんにゃあいけんのに、競争は激化するばっかり。もはや、トラウマなんぞと言いよる場合ではなかった。

 それに、英語も資格英語じゃのうて受験英語を求められた。そこで、センター試験を10年連続で受け、Z会の会員になってその添削方法を8年間研究し、河合や駿台の京大模試を10回受け、京大二次試験を7回受けて
「どねーな解答が高得点を与えらえるのか」
 を研究した。

  京大入試の成績開示

平成18年、20年(文学部)  正解率の平均  66%(受験英語)
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均  76%(資格英語)
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均  79%(ネイティブ英語) 

 並行して、恐る恐る(笑)高校数学に手を出した。オリジナル、1対1、チェック&リピート、赤本をそれぞれ2周して、徹底的に高得点を取る方法を研究し、高校数学のクラスを開設した。

 同時に、スマホが高校生や中学生の間にも普及し始めたけぇ、自分の研究結果をアメブロ、Youtube やらで発表した。すると、「受験生ランキング」で1位になり、Youtubeでは合計50万回再生ちゅう状況になった。

 そこで、この研究成果を使うて写メやファイルによる通信生を募集したら北海道から九州まで応募があり、10年連続で京都大学の合格者がでた。自分でも、ビックリした。

 ほいで、気づいたら数学に対するトラウマがすっかり消えちょった。どうも、英語の勉強の過程で極意を身につけたんじゃげなんじゃ。つまり、英語って文法を気にしちょったら身動きできんようなるよね。

 アメリカで生活しちょる時は生きるために文法やら気にしちょる余裕がなかったんじゃ。ヘタでも間違えても、とにかく会話をせんにゃあ食べることも出来ん。

 その時、気づいたことがあった。
「ボクたちは、日本語を話すときに五段活用がどうのと考えたりせん」
 ちゅう、当たり前のこと。もちろん、仮定法がどうの、関係詞がどうのと勉強はする。未然、連用、仮定、命令なんて覚えたりもする。じゃけど、話すときはそねーなん考えん。

 数学も同じじゃと気づいたんじゃ。余弦定理も、部分積分の公式も原理を勉強はする。じゃけど、そりゃあそれとして問題を解くさあ話が別。使えりゃあええ。気になった時は調べるけど、解いちょる途中は気にせん。

 そねーなんに気づくそに、ノイローゼで入院したり、30年も数学から離れちょったわけ。あまりのバカさかげんに、嫌になるほどじゃ。

 詳しいこたぁ、 Storys に書かせてもろうた。キョウダイセブンで検索してもらうと見つかると思う。

 よう読まれるエッセイ

1位、「文系出身で数Ⅲを指導する、塾講師になるまでにしたこと」
3位、「A子ちゃんのこと」
2位、「京都大学の英語で8割を越えるための一考察」

 でもね、そのおかげで塾生の方は英語も数学も質問できる先生、家庭学習中も写メやファイルで質問できるネットに強い先生を手に入れることができたわけじゃ。何が幸いするか分からんのが人生じゃのんた。

 考えてみたら、英語や数学だけでのう、うちらは電気のことやら知らんとテレビを見よるし、車の構造やら知らんと運転しちょる。なして生きちょるのか知らんと生きちょる。

 そう思えたら、ぶち楽に感じんか?この世界のことやら何も分からんし、そんでええんじゃ。じゃけぇ、間違いをいっぱいするけど、そんでええんじゃ。全力でやるだけ。それだけ。

ぼくは、18歳の時にノイローゼで入院させられた

ぼくは、18歳の時にノイローゼで入院させられた

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-15

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