空の記憶

空は青い。
それは、根拠がある。
地上のものは人間の手によって、
いとも簡単に変えられてしまう。
空は変わらない。
いつの時代も、
快晴の空は青く、
夜空は濃紺だったはず。

空は記憶を持っている。
地球が産まれた時からずっと、
その姿を見つめ続けている。
溶けた岩石の塊だった頃も、
陸地が出来て海が誕生した頃も、
人類がこの世に産まれてからも、
空に訊けば、何でも、
教えてくれるだろう。

優しく笑う君が、
その時間が、空間が、
泣きたくなるくらい一番大事なものだよ。

僕が彼女に囁いたのも、
君は聞いていたんだね。

彼女が残したたくさんの欠片
どうすれば忘れられる?
どこを掻けば治まる?
胸が高鳴る僕が情けなく、
彼女を忘れるために、
見えない明日を探してるけど、
もう見たくなくて、
夜空に投げた。
君のところに、彼女は届いたかな?

彼女は君のように、
変わることはなくて、
仏壇の上の彼女は、
いつも僕に向かって、
微笑んでいる。
こんな僕の姿を、
君はどうか、
いつまでも覚えていてほしい。

空の記憶

空の記憶

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-02

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