シ小説『リグ』
リグよ
フィナーレ!フィナーレ!リグ、リグ、リグ!
理解の先に立っていた、水門の先に立っていた、フィガロは、テネブラエと、サタンに墜ちていく。
さらば、人生。久遠の光。日に去れば、夕は眩んで、だからラカエの言うとおりにリタしたのに。
そうだ。フィシスが絶えず鳴り止まないのが問題だ。酷いも、レナシーからの目覚めも。
だから何だよ。この狭間に落とされた光が。
終末のような、永遠のような。それでいい。それがいい。だから、キスして、君とキスして。
酒に酔うには、まだ幼いよ。そうだろう? そうだとも。だって君は天使なんだから。
そうだね。
でも、僕は堕天使でいいんだ。
うん。
堕天使はさ、ルシフェルって呼ばれてるけど、本当はただの堕天した天使でしかないんだよ。
そんなことないよ。君は天使だよ。僕なんかよりずっと、ずっと。
いや、違う。
君が言ったんじゃないか。自分は人間だと。
それは……。
じゃあやっぱり君は天使じゃないか。
天使なんかじゃないよ。
どうしてだい? 天使なら、こんなことになっていないもの。
こんなことって?…………。
ねぇ、フィガロ。あなたは本当に堕天使だったの? どうだろう。でも、僕は君の翼を折ったよ。
翼なんて……折れてないよ。
そうかな。
それに、私は堕天使なんかじゃないわ。
そうなのかい?
もうよくわからないよ。この妄想も。君はさ、悪魔よりも悪いものに取り憑かれてたんだ。そうに違いないよ。
そうかもしれない。
そうだよ。きっとそうだ。
そして、僕らはその悪に打ち勝ったんだ。
そうかもね。
そうさ。そうだよ…………。
ほら、やっぱり君は天使だ。
そう思う? ああ。もちろんさ。
ふふふ。ありがとう。
そうしてしたキスは虚しく感触などなかった。
嗚呼!輪廻め!このしがらみのどん底から這い上がってやる!光はいらない。水を、水をくれよ!愛をくれよ!命をくれよ!さぁ、フィガロ!リシス!テネブラエ!僕に見せてくれ……永遠を。
シ小説『リグ』