ヌード・イズム

はだかで、存在できていた、
もっともな、愛だ、
めざめた、しゅんかん、与えられた。憐れむような、ひとみは、あたたかかった。くちづけは、ゆがみと、疑わず、ものがたりは、あざやかな現実。いたみがともなっても、なみだすら器で、乳房と床が、こすれようと、海をたぐらない。豊満な肉体が、羽衣のようにかるく、完全なる足は、たどたどしい。
わたしは、泳いでいた。
肉親の、手と手を、渡ってゆくだけだと、さとされながら。糸で縫うように、浮かび、沈み、手渡され、放たれ。
熱をおびた。

境のないばしょ
あのひとも、わたしも、あなたも、おおきなもののなかにいる、(それは海のようなもの、と、布をはおって、醒める、)それまで、ひとり。わたしたちは、ひとりきり。
――完全なる足で、どこまでもいって、さみしさを、知った。
「かえっておいで」
熱がある。

もっともな愛で
ひとりのわたしを
やわらかく
抱きしめたひとがいる
あたたかくて
渇くことのない
満潮の
日々

そうだ

はだかになろう

ヌード・イズム

ヌード・イズム

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-26

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