空ノ少女

空ノ少女

(カラ)ノ少女がいた。



空ノ少女は孤独だった。



自分を空っぽだと思っていた。



死ばかりを考えていた。



でも生きることにした。



一人の男性に出逢えたから。



あの冬の日。



空ノ少女は生まれて初めて恋をした。



歳の差こそあったが気にしない。



その男性は探偵だった。



連続殺人犯を探しているという。



空ノ少女は運命を感じた。



この人に殺してもらおうと決めた。



空ノ少女は彼の妻を殺した。



空ノ少女は彼の子どもを殺した。



猟奇殺人犯。



それが空ノ少女の正体だった。



空ノ少女は自身を満たす為に人を殺す。



だけど流石にもう疲れた。



終わりにしたかった。



探偵の男は怒りに任せて空ノ少女を殺そうとする。



だけど結局殺せなかった。



空ノ少女は初めて泣いた。



「どうして殺さないの?」



探偵の男も泣いていた。



空ノ少女はその涙を手で拭った。



空ノ少女はその男を殺した。



そして空ノ少女は人を殺すのをやめた。

空ノ少女