うすい繭
かすかな閃光が、わたしのひとみを覆い、やさしく刺激します。好意的な攪乱です。そうしてわたしは、渦中にいるときの、水面のように、俯瞰しています。
(中略)
つまり、とあるところと、そのなかにある、もやのかかった光は、視界のもの、というより、脳内で融和できないことが 生じてしまった、という、証明です。もしあの光が、満たされているために、溢れてしまうのであれば、わたしが外向的に膨張しているのは、いささか、宇宙の神秘になってしまうでしょう。しかし膨張は、すべて外傷による水ぶくれにすぎず――内の液体は汚染されている――それはふしだらな傷であるので、罪と同様に、裁かれなければなりません。人間が感傷的な生物であることで、平衡することはないとして、まさに快楽であるので、光と混沌とは、うすかわにあります。
それをひとは、恍惚、というのです。
うすい繭