恋人に、術の練習を付き合ってもらった
お久しぶりすぎる空由佳子です。こんにちは~
久しぶりにけしからん小説のネタが思いついたので、ソロっと投稿させていただきます。短いですが、少しだけ続きます。
相変わらずのハヤブサさん×シュバルツさんのワールドです。
楽しめる方はどうぞ~~
「術の練習をしたい?」
リュウ・ハヤブサの言葉に、シュバルツ・ブルーダーは少し驚いたような声を上げた。
「そうなんだ」
シュバルツの隣を歩きながら、ハヤブサは腕を組みながら頷いていた。二人は今、ハヤブサの里の中で週に一度の逢瀬の時間を過ごしているところだった。
「これは、お前にしか頼めなくてな」
「それは……お前の術の向上のためならば、協力を惜しむものではないが───」
シュバルツは少し、難しい顔をする。
「『私』で良いのか?」
シュバルツの懸念が分かるハヤブサは、面に優しい笑みを浮かべた。
「別に構わない。今回の目的は、相手に『術』をかけることではないからな」
「そうなのか?」
「ああ……手順の確認と、技の継承のためだ」
ハヤブサの話によると、その技は古くから里に伝わる物らしい。
「一応、里の忍者のはしくれとして、里に伝わる『術』は身に着けておきたい、と、思ってな……。ただ………」
ここでハヤブサが、シュバルツの方を、ちらっと見る。
「ただ……どうした?」
シュバルツが先を促すように声をかけると、ハヤブサは、口許に手を当てながら、少し複雑な表情をした。
「ただ………この『術』は、『色事』関連の物なんだ」
「な───!!」
ぎょっ、と顔色を変えるシュバルツに、ハヤブサも少し渋い顔を見せる。
「実際問題、情報収集をするために、房中術が役に立つこともあるからな……。俺はそういうのは好かんから、できれば使いたくはない」
「ハヤブサ……」
「そういうことをするのは、お前ひとりで十分だ。そうだろ?」
「う………」
ハヤブサのストレートすぎる物言いに、シュバルツは思わず赤面してしまう。その横顔があまりにも可愛らしいから、ハヤブサの強くない理性がぐらぐらと傾いでいきそうになってしまう。
しかし、ぐっとこらえた。
ここで欲望のままに突っ走るのは簡単だが、それでは目的が達成できないからだ。
「だが……里に伝わる『術』ならばそれを受け継いで、次に繋いでいかなければならないのも確かだ……。だから、術の発動の仕方と、手順を確認したいだけなのだが……」
ハヤブサはもう一度、シュバルツの方を見る。
「付き合ってくれるか? シュバルツ」
シュバルツはそれに少し、渋い顔をしながら、逆に問い返した。
「いやだ、と、言ったら?」
「お前が『いやだ』と言うのなら、俺も無理強いするつもりはない。おとなしく引き下がるさ………『今』はな」
「今は?」
「今は」
シュバルツが目をぱちくりさせて問い返すのに、ハヤブサはさわやかな笑みを浮かべながら答える。そのハヤブサの笑みを見て、シュバルツはハヤブサの考えを悟ってしまった。
(こいつ……! 『今は』ということは、私の同意が得られるまで、何回でもしつこく問い直してくる気だ………!)
「………………」
シュバルツは眉間にしわを寄せながら深いため息をついていた。そして思った。ハヤブサのこのしつこくなるであろう問いかけを、断り続けるのは面倒くさいと。
「………私は人間ではないから、思ったような術のかかり方はしないかもしれないぞ? それもいいのか?」
「お? そういうことを聞いてきてくれるということは?」
ハヤブサの瞳が、期待故にキラキラと輝く。そういう反応をされると、シュバルツの方も一瞬「断ってやろうか」という気持ちが起きなくもなかったが──────
(どうせこの後、抱かれることになっているしな……)
盛大なため息とともに、シュバルツは抵抗することをあきらめた。
「……分かった。術の実験台になってやる」
歓喜の叫び声をあげたハヤブサにシュバルツが連れ込まれた場所は、やはりというか、里の中にある座敷牢だった。シュバルツは服を脱がされ、腰に薄絹一枚つけた状態で、ハヤブサの準備が整うのを待っていた。
「……本当に、私はこの格好でいいのか?」
シュバルツのジト目の問いかけに、ハヤブサはにっこりと笑みを浮かべる。
「『房中術』だからなぁ。やっぱりやることをやるわけだから」
そう言いながら、ハヤブサはシュバルツに後ろから近づく。立ち尽くすシュバルツを、そっと後ろから抱きしめた。
「一応、尋問に使う房中術だから、お前の抵抗手段を封じてもいいのだが───」
「………抵抗は、しない。さっさとしろ」
そう言いながら、シュバルツはそっとハヤブサの方に手を回す。優しく触れてくるその手に、シュバルツの『赦し』の意志を感じたハヤブサは、嬉しさを止められなくなってしまう。
「……ありがとう。シュバルツ」
ハヤブサは彼の身体をぎゅっと抱きしめると「じゃあ、遠慮なく」と、座敷牢の中に無防備にさらされたシュバルツの肌を、弄び始めた。
「………んっ」
背後から抱きしめられ、優しく触れられる刺激にシュバルツの身体がびくっと跳ねる。
「かわいい……シュバルツ💕」
「あ………!」
耳元でささやかれる言葉から逃げたくて、シュバルツは軽く足搔きだす。しかし、ハヤブサの腕ががっちりと彼の身体を捕まえて、シュバルツが逃げ出すことを許さない。
「かわいい……愛してる」
耳元でささやきながら、時折舌でシュバルツの耳朶を弄ぶ。
「ひっ! あ………ッ!」
びくびくと揺れる身体を優しく撫でながら、存在を主張し始めた乳首を、クニクニと指の腹で摘まみ上げてやると、腕の中の愛おしいヒトの嬌声が、いっそう甲高い物になっていった。
「そ、そんなに耳元で言葉をささやく必要があるのか……? あっ!」
可愛らしくしなり続けるシュバルツの身体を堪能しながら、ハヤブサは術の手順を続ける。
「言ったじゃないか。これは『房中術』だと。相手を篭絡する必要があるからな……。ちゃんと愛してやらないといけないんだ💕」
そう言ってハヤブサは、シュバルツの耳元で再び愛の言葉を囁きだす。
「や……! あ……!」
ハヤブサは、知らない。実はシュバルツは、ハヤブサから直接囁かれる『声』以外の『声』を、聴いてしまっていることを。
シュバルツの身体を構成している『DG細胞』
それが、ハヤブサの『心の声』を拾い上げ、シュバルツに聞かせてしまっている、ということを。
その『声』は、熱を持ってシュバルツの内部に侵食してくる。
愛シテル───
愛シテル
愛シテル
可愛イ
欲シイ
モット奥マデ───
「ああ……! ダメ……!」
『声』に絡めとられる
抵抗の意志を封じられ、熱に翻弄されるしかなくなる。
「シュバルツ……💕」
ハヤブサはそんなシュバルツを優しく抱きしめると、シュバルツの下腹部に向かって指を這わせた。
「ひあっ!?」
シュバルツの牡茎の根元から臍の下にかけて、指で優しく、トン、トン、と、リズムを刻む。
「あ……ッ あ……! それはだめだ……ッ!」
その刺激に耐えられないシュバルツは、それから必死に逃れようとする。しかし、どうしたことか、もう身体には、ほとんど力が入らなかった。
「『術』が順調に入っているようだな……」
ハヤブサはそんなシュバルツの身体を、優しく抱きしめ、愛撫する。
「ああ……! ああ……!」
刺激に合わせるように、可愛らしく跳ねるシュバルツの腰。
その腰の揺らめきは、シュバルツの秘所から薄絹を取り上げてしまう。はちきれんばかりに勃っているシュバルツの牡茎が、勢いよくハヤブサの視線の前に飛び出してきた。
「シュバルツ……もう限界だろう? 一度イッてみるか?」
「そ、そんな……ッ! ダメ……! 今、イッたら……!」
今、快感に溺れてしまうことに、シュバルツは少しの恐怖を感じる。
それは、かけられている『術』に対する、本能的な防衛反応かもしれなかった。
「ほら……シュバルツ💕」
シュバルツの抵抗には構わず、ハヤブサは術の手順を進める。腰の揺らめきに合わせてプルプルと揺れているシュバルツの牡茎を、ハヤブサは優しく愛し始めた。
「ああっ! くう……ッ!」
快感に流されまいと、必死に歯を喰いしばるシュバルツ。無駄な抵抗だと言わんばかりに、ハヤブサはシュバルツの乳首を摘まみ上げる。
「あっ!!」
すでに限界まで熟れ切っていた乳首は、シュバルツを快感の海へと押し流してしまう。
「はぁん! ああ……ん……」
艶っぽい嬌声を上げ始めたシュバルツに、ハヤブサは囁きかけた。
「かわいい……💕 シュバルツ、気持ちいいか?」
ハヤブサの問いかけに、シュバルツは素直にコクコクと頷いていた。
「気持ちいい……! ハヤブサ……!」
「ほら……もっと、腰を振って……」
シュバルツの牡茎を優しく愛しながら、ハヤブサはシュバルツに囁きかける。ハヤブサの手と牡茎が擦れ合うたびに、ぬちゅぬちゅと濡れた水音が、部屋に響き渡っていた。
「んあっ! あ……!」
「このままイッて……シュバルツ💕」
下腹部をトン、トン、とリズムよく指で刺激しながら、ハヤブサは耳元で囁き続ける。
「愛してる……シュバルツ‥……💕」
牡茎を優しく、しかし強くしごき上げると、愛おしいヒトは、あっさりと果ててしまった。
「あああっ! ああ───ッ!!」
激しい悲鳴と共に、白い精がシュバルツの前方に飛び散る。
「あ……! あ……!」
カクン、と、力が抜けるシュバルツの身体。それを、ハヤブサが優しく支えた。
シュバルツの下腹部に目をやると、薄い桃色の光を放ちながら、怪しげな文様が浮かび上がっている。俗にいう───『淫紋』である。
(これが、シュバルツの『淫紋』……綺麗だな……)
ハヤブサはそう思いながら、シュバルツの唇を深く奪う。術を確実にシュバルツの中に定着させるために。
「んむ……んう……」
ハヤブサの口づけをおとなしく受け入れるシュバルツ。腰がびくびくと可愛らしく跳ね、淫紋が薄い光を放っていた。
「は……あ………」
とろん、と、恍惚の表情を浮かべながら、力なくベッドの上に横たわる、愛おしヒト。
(やけに術がすんなりかかったな……。『抵抗しない』と、言っていたとしてもこれは……)
素直すぎるんじゃないか、と、ハヤブサは少し心配になる。
今日初めて使う自分の『房中術』
色々と拙いだろうから、こんなに綺麗に掛かり切るはずないのに。
(まあいい。少し、術の効力を試させてもらおう)
尋問に使える『房中術』
今、シュバルツは自分の問いかけには逆らえない状態になっているはずだから。
「あっ!」
そっと、肌の上に指を滑らせるだけで、びくびくっ、と、身体をしならせる愛おしいヒト。
その可愛らしい姿を堪能しながら、ハヤブサはゆっくり呼び掛ける。
「お前の、名前は?」
「ああっ! シュバルツ……ブルーダー……あっ!」
「お前は、リュウ・ハヤブサの『恋人』か?」
ハヤブサの問いかけに、シュバルツはこくん、と小さく頷く。
「そうだ……私は……リュウ・ハヤブサの恋人……んっ!」
ハヤブサの指が、シュバルツの乳首を優しく弄ぶ。
「ん……く……! ハヤブサは……あっ! 私を……『恋人』として……接してくれ……る……」
その言葉にハヤブサは、嬉しくなると同時に、少しの不満も感じる。
「お前は……『リュウ・ハヤブサ』を『恋人』としては、想っていないのか……?」
「んんっ! ハヤブサは……私の『恋人』……」
「シュバルツ……!」
「私は……! ハヤブサを、愛している………!」
シュバルツからの、愛の告白。
これは、何度聞いても嬉しいから、何度でも要求してしまう。
「愛してる……! ハヤブサ……!」
トロン、とした表情で、ねだられるままに、応えてくれる愛おしいヒト。
しかし、惜しい。
素面の時でも、これぐらい、愛を囁いてくれればいいのに。
でも、どうして愛を囁いてくれないのか、という問いかけをすると。
自分は、アンドロイドだから、とか。
DG細胞が───とか。
哀しい答えが返って来るに決まっているから。
そんな言葉を聞きたくないから、ハヤブサは、別の問いかけをすることにした。
「リュウ・ハヤブサは、お前の『愛している』という言葉が、嬉しいみたいだぞ?」
「ハヤブサ……? ハヤブサ……!」
シュバルツが、何かを探すように足搔きだした。
「ハヤブサ……! どこだ……!」
シュバルツの行動に、瞬間息をのむハヤブサ。
しかし、すぐに納得する。
そうだ。
シュバルツは、今『術』にかかっている状態。
目の前にいる俺の事を、正しく認識できないのだ───
恋人に、術の練習を付き合ってもらった