朝

いちばん最初の
鳥が鳴くのは

朝日に近い木の葉が
呼吸し始めるときだ

背伸びして広がる花たち
地面は静かにゆっくりとふくらみを増す

鮮明になった空は忙しく
鳥が集まりまた離れる

それを目で追う犬が
カーテンの開く音で振り返って尻尾を振る

水滴で曇った窓から
顔を出した父の息は白く

ずいぶん冷えたな、の言葉は
母の包丁の音と重なった

私はというと
今日の世界の始まりに安心して

自分の体温の中で
出番を遅らせている

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-08

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