ラブゲーム/古狸楽霊太 作

ZERO

僕の中には何もない
愛すべき他人(ひと)　
愛される自分(ひと)
どちらも等しく見当たらない

ヒトとは「合い」で愛しあう
同じ目線でピッタリはまる価値観が
久遠(くおん)の誓いを結ばせる

好みを語ればつきないが
見た目は問わず
好(す)いも嫌いも知ってこそ
はじめて恋を自覚する

そして僕には何もない
金と性欲　容姿と心
足すことも引くこともせず
論外極める僕の座標

０から一歩も進めない
原点として
どの次元にも動かない

大きく空いた真ん中は
何で埋めればよいでしょう？

カンパイ

グラス同士をお辞儀させ
今日は本音で話そうよ

乾杯　乾杯　乾杯

精一杯のラブレター
優しい言葉でお返事を
恋と友愛　履き違え
『それ』こそ幸せ　勘違い

メールで呼び出し二人きり
互いに砕ける恋心
涙をぬぐう友人が
僕とあなたの関係さ

旅路の岐路に立つのなら
誠心誠意　寄り添おう
あの人は答えを見つけ旅路を進む
この僕は答えを説くも答えを出せず

グラスを交わせば本音が飛び散る
僕の話をつまみにし
心を開ける人はいない
みんなは何歩も先を行き
僕はこの場で立ち往生

カンパイ　カンパイ　カンパイ

幾度も幾度も繰り返し
最後の最後で巻き返し
勝利の美酒をいただこう
そう誓い　不味い苦汁を飲み干した