僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

すんのはじめ

僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ
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  2. 1-⑵
  3. 1-⑶
  4. 1-⑷
  5. 1-⑸

 僕達4人は、同じ小学校から中学に進んで、仲好しグループだった。そして、地域では有名な進学高校に揃って進もうと約束していた。僕は、三倉蒼《みつくら そう》、サラリーマンの家庭で、高校2年生の兄がいる次男坊だ。

1-⑴

 三年生の夏休み、図書館に集まって、高校受験の為、勉強していた。僕の隣は、
中道美鈴(なかみちみすず)。向かいには、 岩上昇二(いわがみしょうじ)吉井光瑠(よしいみつる)が居る。中でも、中道とは、小学校に入った時、最初に席が隣で、6年の時にも隣同士だつた。僕が、体育で手首を捻挫した時、彼女は授業中のノートを僕の分も書き記してくれた。それ以来、筆記具も貸し借りして、特に、仲良くなっていた。だから、図書館なんかで座る時も必ず隣にいる。

「ねぇ 来年は、みんなで花火見に行こうね 高校受かって」と、中道が言うと

「そうか 昨日、終わったんだよね 今年でも、良かったんだけどな ふたりの浴衣姿観たかったなぁ」

「でも、さんざん私等のテニスの見てきたじゃぁない」と、吉井が言ってきたけど、確かにふたりはテニス部で、練習とか試合に僕達も応援に行っていた。ふたりとも、脚がスラッとしていて魅力的だった。

「あぁ 応援に行くたんびに、負けていたけどな でも、別の意味では、楽しみだったよ 他の学校の奴もな」と、昇二も言っていた。

「純粋に応援だったんじゃあないの? 他の学校の女の子も目当てだったんだ」

「そんなこと無いよ もちろん、ふたりの応援さ なぁ 蒼」

「そうだよ 頑張れって思ってたもの」と、僕もあわてて答えた。

「別に・・ 弱かったんだもの、仕方ないよ それに、このふたりなら、私はそんな風に見られていても良いよ」と、中道は意味深なことを言っていた。

「そーだよね 仲間だから、まぁ良いっか でも、わたし、高校は文化部にするわ 体育系は素質ないし、しんどいし」

「それがいいかもな 俺も、筋肉隆々の姿見たくないよ 吉井はスラッとしてなきゃ、もったいないよ」

「あのさー それ けなしてんの ほめてんの」

「まぁまぁ ほめてるに決まってんじゃん だけど、ふたりともしっかり食べないと倒れるぞ 体力勝負でもあるからな、受験は」と、僕は、中道に聞かせるように言った。彼女は、普段から、あんまり食べないのを知っていたから。

 彼女は、僕の眼をじっと見つめていたが、直ぐに、微笑んだように思えた。

1-⑵

 11月も終わる頃、日曜日に中道から「一緒に、付いてって欲しい所がある」と誘われた。何か事情があるみたいで、詳しく聞かないでOKした。

「勉強のさまたげになるようで、ごめんね 何か、一人じゃぁ心細いから」

 当日の朝、駅で待ち合わせして、電車で向かった。途中乗り換えもして

「どこに行くんや」と聞いたが

「私も、よく、わからんね 初めてやから」と、訳のわからないことを言って返してきた。

 中道は、チャコールのダッフルコートにジーンのミニだったがスキニーを穿いているのに、向かい合って座っていると、細い脚を、僕はドキドキしながら時々、見ていた。テニスのスコートから伸びた素足を見慣れているはずなのに・・。電車の中では、中道が持ってきていた問題集をふたりで解きながら、目的地を目指していた。

 途中、右手に琵琶湖を望みながら、福井の敦賀に着いた。ここから、まだ、ローカル線に乗り換えるという。待ち合わせの間、ようやく、中道は訳を話し始めた

「先月な、お父さんが脳梗塞で救急入院したんよ。まだ、入院してるんやけど、それでな、お母さんが会社のことを見ることになってな。それまで、経理をやっていた女の人を、お父さんとの仲を疑って、追い出したのよ。それで、総務をやっている男の人とふたりでやっているみたいやけど。でもね、私、その女の人も、知っているけど、お父さんとはそんなことないと思うのよ。私なんかも可愛がってくれてたし・・。お父さん、まだ、頭がはっきりしないし、本当のこと聞けないし、私、その人に確かめたいと思って・・。実家に戻っているって聞いたから・・」

「そんなことになっているのに、なんで、もっと早く言わないんだよ 僕達は・・仲間だろう」

 中道のお父さんは、少し、大きめのステーキレストランを2店経営をしていて、サイドメニューとかスィーツも評判が良くて、新興住宅地にも3店目の開店を進めていると聞いていた。

 敦賀から何個目かの駅に降り立った。駅前は閑散としていて、タクシー乗り場にも1台も停まっていなかった。夏ならもう少し賑やかなんかも知れない。

「目的地はわかってんだろう どっち行くんだよ」

「あのね 高井って家で 民宿やっていたんだって」

「それだけか 住所調べてないんか」

「うん 田舎だったらわかるかと思ったんだもの 電話もお父さんしか知らないし・・」

「なんか 無鉄砲やのー いき当たりばったりかー」

「だから、三倉に一緒に来てって頼んだのっ 迷惑だった?」

「そんなことは無いよ 少し、あきれているだけ 仕方ないから、民宿がある方に、歩いて行くか― そこで、とりあえず聞いてみよう」

 バスもあるみたいだが、本数が無いみたいで、歩くことにした。多分、1Kmちょっとだろう。

「ほんまに、変なこと頼んでごめんね」

「大丈夫だよ 中道の頼みだっだら、平気 平気」と、言いながら、手をつないでいった。

「なぁ 中道じゃぁなくって なんか、遠い人みたいで・・美鈴って呼んでよぅ」と、言って、つないだ手を自分のほうにたぐり寄せてきた。

 結局、30分近く歩いて、最初にみつけた民宿で聞いてみたど、心当たりが無いとのことで、もう少し先の民宿は古くからやっているから、そこで聞いてみればと勧められた。

 又、30分近く歩いて、その民宿に行って聞いたけど、民宿組合の名簿を探してくれたが高井という名前は無かった。すると、おばあさんが出てきて、駅の方の海辺で以前に民宿をやっていた人が、確か高井と言ったと思うと教えてくれた。だけど、10年くらい前に、主人が亡くなって、もう、民宿はやっていないという話だった。

「海辺に行って、ご飯たべよ おにぎり作ってきたんよ」と、美鈴がそっちへ引っ張っていった。

 海辺に出ると砂浜が広がっていたが、波打ち際は木クズとかゴミが打ち寄せられて、寂しい風景に思えた。陽はさしているが、風が少し冷たい。それでも、砂浜に座るとほんのり暖かい。

 美鈴がリュックから水筒と包みを取り出して、広げると白い容器に海苔の巻いたおにぎりで、別の容器には、玉子焼きとかハム、レタスなんかが入っていた。

「美鈴 これ作ってきたんか おいしそうだよ」

「うん 蒼君に食べてもらおうってね」

「これをずーと背負っていたのか 言えば、代わったのに・・」

「そうだね 忘れてた 手をつないでくれたから」

 水筒の中は、何にも入ってない紅茶だった。いい香りがして高級なものだと僕にもわかった。食べたあと、波打ち際を少し歩いて、美鈴は貝殻を拾っていた。そして、気持ちよさそうに、髪の毛をひろげて、風になびかせていた。

 僕達は、駅のほうに戻って行き、教えられた高井さんの家を探した。付近まで行って、畑をしている人に尋ねて、家を教えてくれたが、多分、もう誰も住んで居ないよと言われた。

 それでも、その家に行ってみたが、確かに人が住んでいる気配がなかった。

「しょうがないよ もう、あきらめよ」と、僕は、美鈴の背中をさすりながら言った。

「そうだね だめかなー」と言いながら、美鈴は隣の家を訪ねて行った。

「去年だったかねー 娘さんが訪れてね、母が心臓が悪いので、入院させるとかで、連れて行ったよ 一人っ子だったからね」と、隣の人から聞き出した。

 帰りの電車の中で「本当に ごめんね 面倒かけて」と美鈴は謝ったきり、黙り込んでしまった。普段は、留めている長い髪の毛を、今日はひろげたままだったのだが、胸元に持ってきて、指に巻き付けるようにして、何かを考えている様子だった。だけど、反対側の手で僕の手を握り締めていた。 

1-⑶

 その年は、僕達には、正月も無かったが、昇二が合格祈願ぐらいは行こうぜと提案があった。みんなも賛成し、大阪天満宮に決めた。

 駅で待ち合わせしていたが、美鈴が現れた時、僕はびっくりした。学期末に別れた時よりも、やつれて顔に艶も無いように思えたのだ。

「美鈴 大丈夫なんか?」

「何が 元気だよ ちょっと、勉強し過ぎて、寝不足なだけ」

「美鈴 お肌も荒れているよ いつもツヤツヤなのに」と、光瑠も心配していた。

 僕達は、天満橋まで出て、そこから歩いて向かっていて、前に昇二と光瑠が歩いて、後ろから、僕と美鈴は並んで歩いていた。美鈴は、前を伺いながら、時々、そーっと手をつないできていた。まだ、初詣客で混んでいた。

 お詣りを済ませて、みんなで絵馬に願い事を書いた。その時、美鈴は隅っこに「みんなで一緒に」と書いていたのが見えた。僕はあわてて「美鈴と」と書いて結んだ。そして、僕は、内緒でミサンガ風のお守りを買っていたのだ。

「美鈴 お父さんの具合どうなの?」と、光瑠が切り出した。帰りの電車に乗る前にみんなでカフェに入っていたのだ。

「うん もうすぐ退院すると思うよ でも、しばらくは、仕事出来ないとだろうって」

「そう お母さんが会社の方見てるんでしょ だから、美鈴が病院のほう面倒見てるのか 大変なんだ」

「そうなんだけどね・・」と、美鈴は歯切れが悪かった。

「中道 無理すんなよ 俺等仲間なんだから、手伝えることあったら、言ってくれよな 身体だけは、大事にしろよ」と、昇二も心配していた。

「有難う でも、大丈夫 私のことなんか心配しないで、受験に集中してよね」と、美鈴は返していたのだが・・

 みんなと別れた後、僕は、美鈴を追いかけた。あのお守りを渡すためだ。

「美鈴 これ! もう一つは、僕の 一緒に高校行こうぜ」と、ピンクと赤のほうを差し出した。

「ありがとう うれしいー そっちは、ピンクと青なんだ 絆だね」

「美鈴 本当に、大丈夫なんか?」

「うん なんとか乗り切るよ 今だけ、少し大変なだけ」

「何かあれば、言えよ 俺は、お前の・・」

「わかってるって 君は、私の蒼君 美鈴も蒼君のものってことで、いいんだよね!」と、お守りを美鈴の利き手の左に着けて見せた。

1-⑷

 私は、二つのレストランの総料理長に会いに来ていた。お昼が落ち着いた頃をみて、裏から訪ねて行ったんだけど、客席に案内され待っているように言われた。

「待たせてすみませんね ちょっと、片づけてきたもんで・・ 珍しいね、今日はどうかされましたか」と、もう60に近い松永さんが来てくれた。松永さんは、私が小さい頃、よく、遊んでもらっていた。

「お久しぶりです すみませんね、お忙しいのに 私、松永さんにしか聞けなくて・・ 高井さんのこと」」

「やはり そうですか 実は、お嬢さんはどうしているのかなと気にはなっていたんです。高井のことは、色々と複雑でね、ここでは、あまり話が出来ないので、僕は、明後日休みなので、お嬢さんの学校の終わった後にでも、別の場所で会えませんか」

「良いですけど 飲食店は、学校の帰りには、ちょっと 市民会館のロビーで良いですか」

「もちろん 先週、病院にお見舞いに行ったんですけど、社長は、あまり仕事のことはねぇーという感じでしたね」

「えぇ まだ でも、回復すると思いますよ 頑張ってもらわないと・・」

 - - - ☆ ☆ ☆ - - -

 その日、ロビーのベンチに座って、松永さんは待っていてくれた。

「ごめんなさい お休みで、ゆっくりしたいのに 出てきてもらっちゃって」

「いいんだよ 僕も、お嬢さんには、一度、会って話をしなきゃって思っていたから 今から話すことは、お嬢さんには、少し酷なことかも知れないし、僕だけが感じていることだからね」

「わかりました 私、松永さん信じていますから、何でも話してください。お父さんと高井さんのことも」

「君のお父さんは、学生の頃から福井の美浜の民宿によく行っていたんだ。30歳になって、この店を開いた後もな。その時、あの子が小学生で、懐いてくれて、可愛がっていたそうだ。だけど、10年ぐらい前かな、突然、主人が亡くなってな、でも、しばらく母と娘で民宿は続けていたそうだ。だけど、続かなくなって、娘を自分の店に来ないかと社長は誘ったんだ。それから、彼女は経理の勉強してな、うちの店でも一生懸命仕事していた。でも、社長は、気にはしていたけど、奥さんが言うような男と女の関係では決してなかったよ。彼女も社長のことは信頼していたみたいだけど」

「本当ですか 私、お父さんを信じていて良かった 高井さんと連絡とれます?」

「それがな 知らないんだよ 辞めたのも突然だったしな」

「そーなんですか 私、あの人にも可愛がってもらったから・・」

「うん 仕事も真面目だったしな 僕は、お嬢さんに余計な苦労かけたくないから、今から話すこと、辛いだろうけど、しっかり受け止めて欲しい」

「わかった 乗り越えるつもりで来たから」

「実は、奥さんが来てから、ホールの人間が次々と辞めているんだ。給料を下げられたらしい。総務の上野の提案らしい。それに、あいつは、近くに新しく出来るチェーン店に引き抜きの話があって、うちの調理の連中も連れて行くという話が出来ているらしい。実際、調理の2番手との間では話が出来ている」

「それで、松永さんは?」

「僕は、社長との恩と義理があるのわかっているからね 多分、僕には、内緒にしているよ」

「ありがとう 松永さん お父さんを何とか支えてね」

「もちろんだよ 社長は、従業員にいつも感謝していて、儲かると特別手当を出して、自分の分は減らしていた。立派だよ。僕も、さんざん世話になってきた。僕には、子供も居ないから、お嬢さんのことも自分の子供というか孫というか、可愛いと思っているし、何とか守りたいと思っている」

「それを聞くとお父さん喜ぶと思うわ 色々と思いだすかも」

「お嬢さん まだ 言っておきたいこと、あるんだよ 言いにくいことだけど 上野と奥さんの仲があやしいんだ だから、今じゃぁ、上野の言いなりで・・ふたりで会社の金を貯め込んでいるってウワサだし」

「松永さん そんなことって あるわけないじゃぁ無い お父さん、あんな状態だし、私も妹の
清音
きよね
も居るのよ」

「お嬢さん 奥さんは、社長が従業員に給料を出し過ぎだって、やり方に前から不満を持っていたんだ。それに、高井のことが重なって・・奥さんはまだ若いし」

「お母さんって、そんなこと思っていたんだ。だから、お父さんのことも、あんまり面倒見ていない。最近は、家のこともほったらかしで・・私、会社のことが忙しいんだと思ってた」

「僕の勘違いだったら、良いんだけど お嬢さんには、この際、知らせておいた方が良いと思って 覚悟しておいてください お店も、多分、閉められていくと思います」

「えぇー そんな状態なのー」

「今まで、社長がやりくりして伸びてきたんですけど、今はー すみません 僕には、どうにも出来なくて・・料理のことしかわからないんです」

「松永さんのお気持ちはわかりました。有難うございます。私、そのこと頭に入れて行動します。でも、松永さん、私達のことは、気にしないで置いてくださいね 今からでも、条件の良い所あったら、移ってくださいね 私、これから病院のお父さん看に行かなきゃ またね」

「お嬢さん これ プリンです 社長に食べてもらってください 僕が作りました」

 私は、病院に向かう途中、涙が出てきていた。何の涙かわからない。色んなことを聞いたので、頭ん中も混乱していた。だけど、お父さんと高井さんが変な関係じゃぁなかったことだけは、安心していた。

1-⑸

 3月に入ると美鈴は学校に来なくなった。ラインしても「大丈夫 元気 お父さんの側にいたいの 試験にはいくから」とだけ返事が返って来る。心にひっかかるものがあったが、試験の日が迫ってきていた。

 当日の朝、美鈴が現れた。僕達の前では「頑張るぞー」とか声を出して明るく振舞っているみたいだった。僕は、昇二と「様子が変だな」と顔を見合わせてながら、試験会場に入った。

 科目が終わった後も、美鈴は自分の席から離れず、僕達とは、話せずじまいだった。全て終わった後も「ごめん お父さんの側に居なきゃ」と言ってさっさと帰って行った。皆が、夜にラインしたみたいだったが、返事がないままだった。そのまま、学校にも出てこなくなった。

「中道の店 出口店を閉めたらしいぜ 割と急だったらしい」と、昇二が言ってきた。

「そうなんか お父さんが入院しているのって、影響しているのかな 美鈴、何にも話さないから あいつ」

「蒼 お前 中道と特別に付き合っているのか?」

「うん 僕は、彼女が好きなんだ 意識している」

「だろうな うすうす感じていた 最近、名前、呼び捨てだから 二人ともミサンガ着けていたものな でも、お前等、小学校から仲良かったもんな 中道は可愛いし」

「すまん 高校に入ったら、話そうと思ってた でも、最近だよ」

「謝ることじゃぁないよ お似合いだと思うよ やったなー」

 合格発表の日。僕達は、みんな揃って受かっていたが、その日、美鈴の姿は無かった。ラインしてみたが「おめでとう 卒業式は出る」と短い返事が返ってきたきりだった。

 卒業式の朝も美鈴の姿は無かった。僕達は心配しながらも、式を終えて、それぞれの教室に戻ろうととしていた時、僕の前にテニスボールが転がってきた。

 振り向くと、体育館の陰から・・美鈴だ。おいでおいでをしている。僕は、側に駆け寄っていった。

「どうしたんだよ なんで、来なかったん 大変なのか」

「ごめんね 急な用事で・・ 蒼君には、会っておきたかったから・・」

「何でも、抱え込まないで、話してくれよ 約束だろう」

「うん 落ち着いたら話す これ 渡したかったんだ 私が、大事にしている子猫チャンの人形 持ってて あのね 次に会えれば 多分、高校の入学式までも・・」

「どういう意味だよ 僕は、何か力になれないのか」

「うぅん そういうんじゃぁないけど でも、待ってー 蒼 私は、あなたが好き ちょっとかがんで」と、言ってきたかと思うと、いきなり、背伸びして、僕のほっぺにキスをしてきた。そして「元気でね」と、言い残して去って行った。

 僕は、いきなりで、情けないことに、しばらく動けなかった、そして、追いかけることも・・。この時は、もう会えなくなるなんて、思ってもみなかった。昇二と光瑠にそのことを話した。

「そうなのよ 美鈴から 意味不明なメール入っていたのよ もう、会えないみたいな」と、光瑠が言っていたが

「俺にも、来ているよ 今まで、有難うっていうような意味かな」と、昇二も言っていた。

「美鈴のうちにみんなで行ってみようぜ あいつの店、本店も15日に閉めたらしい 大丈夫かな、あいつ」

 先生に住所を聞いて美鈴の家に3人で行ってみた。社長と言うには、ごく普通の家だったが、門には「売り家」の看板が下がっていた。美鈴に電話してみても(電源が切られているか・・)で連絡付かなかった。

 そのまま、何回も電話してもラインしても返事がなく、数日後には(現在使われていません)に変わっていた。

 そして、高校の入学式を迎えたが、美鈴は僕達の前から姿が消えてしまったのだ。

僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

僕等4人の仲好しグループは同じ小学校を出て、中学校も同じで、地域では有名な進学高校を目指していた。中でも、中道美鈴には特別な想いがあったが、中学を卒業してから、彼女の消息が突然わからなくなってしまった。僕の頭からは、彼女のことを消え去ることが出来なかったが・

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  • 恋愛
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更新日
登録日 2021-09-09

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