ロマンチック・プリズム

どんなときも、ぼくという個体が原理だから、恋しない、愛する。享受されたくないのだ。だれもが、夜のむこうに光を発して、死んでしまえばいいのに、愛は、ほどとおい。
心臓は、破壊の星として、生きてきた。なくなっていくのも、沼るのも、とうぜんだから、だれかを愛そう、と、してきた。つまりかなしいことは、ぼくだった。美しいものは、ちかくにはなくて、眺めることのできるもので、あのひとだって、(いつかは、)いつかは、死んでいくのだった。
愛されることはある。しかしはじめから、ほんとうの愛を、しっているひとはいなくて、条理は定められているけれど、生命があれば気づく、愛は学ぶものだ、と。そして生物学ではなく、ひとは愛しあうたびに、人類のことをかんがえる。(天文学的に、)ひとびとは、さみしい。いつからか、いつまでも、ひとびとは、さみしくなっていって、かがやいていたい。ひとりきりで、だれにもきづかれないように、発光して、死んでしまいたい。(ぼくとおなじだ。)
愛されるために。

ロマンチック・プリズム

ロマンチック・プリズム

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-05-16

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