少年の詩
舌に絡みついた蜜が、流れてしまうまで……
「クラスのひとの、こえを、まったく思いだせないの、いなくなっちゃったみたい、あのひと、いなかったみたい。」
ぼくだけにきこえるこえで、云った。流星より、はやかった、ことばになるのが、はやくて、ぼくはまた、ないてしまうだろう、と、おもった。さらさらした、きみの髪で、線を書いて、繋げて、繋げたものに、なりたい、ので、きみを、口ずさむのを、やめたい。きみのことばと、きみだったことばのおとは、まったく、別のもので、きみはことばになっても、美しいのに、ぼくは、追いつけない。ぼくときみの些細なおとのちがいは、透明なもので、くるまれて、それでもぼくたち、人間で、ひとりだよ。きみを口ずさんでも、舌に蜜がのこって、魅了されているんだよ、と、云えよ、云えよ、あ、流星。指切りをして、わかれていく。約束をした。ささやくときの、境界のまま。
少年の詩