少年の詩

林やは

舌に絡みついた蜜が、流れてしまうまで……

「クラスのひとの、こえを、まったく思いだせないの、いなくなっちゃったみたい、あのひと、いなかったみたい。」
ぼくだけにきこえるこえで、云った。流星より、はやかった、ことばになるのが、はやくて、ぼくはまた、ないてしまうだろう、と、おもった。さらさらした、きみの髪で、線を書いて、繋げて、繋げたものに、なりたい、ので、きみを、口ずさむのを、やめたい。きみのことばと、きみだったことばのおとは、まったく、別のもので、きみはことばになっても、美しいのに、ぼくは、追いつけない。ぼくときみの些細なおとのちがいは、透明なもので、くるまれて、それでもぼくたち、人間で、ひとりだよ。きみを口ずさんでも、舌に蜜がのこって、魅了されているんだよ、と、云えよ、云えよ、あ、流星。指切りをして、わかれていく。約束をした。ささやくときの、境界のまま。

少年の詩

少年の詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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