三四等星
銀河の三角に、ぼくたちのこえがぶつかって、波ができたので、星々は、ないています。淡い、恋みたいな、かおりでした。星たちのやさしいところだけを、舐めているみたいでした。銀河系は、ひとりぼっちの、あつまりかもしれません。ぼくたち、また、であったのです。
ひとのかなしみを、すくいあげる仕事に就いたきみは、きみではないようで、ぼくのかなしみは、きみにすくわれるためのものではなかったけれど、すきだよ、と、まいにちこっそり、ないた。たった銀河の末端のできごとだった。ぼくの世界じゅうが、きみにやさしくしていたのだ。やさしいから、と、すべて望外な夜になった。
銀河をみつめるだけで、美しい、と、おもえました。だからぼくたちは、六等星にはなりたくないまま、一等星になれなくても、よかったのです。ひとりぼっちの、星に、こえをぶつけて、ぼくたちどこまでも、ひとりだ、としってしまえることが、愛おしかったのです。ひとの、かなしみや、きみの、かなしみで、星をなかせて眠る、夜だから。ぼくは、三四等星くらいでよかったのです。
三四等星