花と天国
死んでいくことは、まったくおそろしくない。
肉体はいつか滅びる。滅びるよ、ぼくら。
ひとが花にさわるのは、天国へいくからだ。いのちは尊い、ということを、口にする。ひとは、やさしくなる、しゅんかんに、死をそうぞうして、そのやさしさに気づいたとき、ひとごろしになり、いのちにやさしく、削られている。しゅんかんが、えいえんになるようなことに、あこがれているのだ。延命されたい。だから、えいえんに死んでしまう。そのときはもう、肉体は、いらない。
慈しみは、いつか、肉体を滅ぼすための、慣例。
花と天国