水葬

林やは

(ぼくたちはやっと、海に還れる、ね、)
いつも、やさしいから、かなしいことがあると、ないてしまうのだ、と、おもいだしたきみは、愛おしいものだけを、沈めることにした。泳ぐこともわすれてしまった、さかなのように生きる、ぼくたちに、もっともな弔いは、果てしないことで、(そして、すこし、罪で、)それでも、海の底から、すべてははじまった、と、されているから、ぼくたちは、やさしいまま、生きていたものの、溺れていく姿を、ただ、みつめていた。ぼくたちは、ほんとうは、真っ暗なところで、やみと、ひとつになる。(だから、ぼくたちは、愚か、かもしれない。) いくつもの残骸が、もっとも深いところで、死にやさしくなり、ほほえむ。泳ぐことはなく、たまに、はじけて、群れて。

水葬

水葬

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-11-17

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