正しさを

正しさを

自分が正しいと示すことは

長くて重い錆びた刃物を
右手に握りしめているようなものだ

強く固く握りしめて
離さずに
離せずにいるうちに

指が錆び
腕が錆び

肩から首へ
胸から腰へ

赤茶色の乾いた荒い粒子が
静かに広がっていく

錆びた唇からでる言葉は無機質な金属音で

錆びた足の先で歩こうとしても痛くて動かせない

もともと切れはしない
錆びた刃物を
離さない限り

錆びていく姿をさらしたまま

つつけば赤茶色の粉になるまで

自分が正しいと示すことは
そんなことだ

正しさを

正しさを

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-08-29

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