砕く

林やは

宝石を砕くみたいにできあがった、ぼくだったものが、心臓を探しあてて、いま、ここに、ある。人類になみだを捧げても、天才にはほどとおい、ぼくはそんな、ぬいぐるみみたいな、かなしさが、ほしかった。果てないものが、からだのなかからやってきて、ぼくを燃やそうとして、まるで、うみ。

夜について、はなすことになった。とくべつではなくても、神様に祈るみたいな安寧を、ぼくたちはしんじていて、そのことばには、あまいような香りがありました。こころのなかに、真珠が落ちてきて、きれいだね、と、つぶやけないまま、破裂してしまう。そんな、ゆめみたいなものだよ。きっと、きれいなゆめだよ。きっと。

愛されることがこわかった、ぼくのこれは、いつかは溶けてしまうものだとおもっていた。分子もべつべつになって、いつか世界じゅうで、ぼくは生きることになるとおもっていた。
ぼくは、ただ、砕けた。
美しくなれば、あまくなれば、やわらかくなれば、ぼくはずっと、ひとつだったかもしれない、とか、なんどもおもって、燃えそうになった、しゅんかん、また、ここにもどってくる。あんしんしたかった。あんしんして、なくなっていかないものと、同化することを、かんがえていたよ、この、うみで。

砕く

砕く

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-08-03

Copyrighted
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