浮かぶ街
街が頭上に、
僕らの真上に浮いている。
彼らは水上のごま油のように、
けれども何にもたゆたうことなく、確固として僕らの頭上に浮いている。
その街は何かの仮定のように清潔で直線。
たくさんの頭によって仮定されたみたいに一般的な街。
ビル群が立ち並び公園がある。学校があり、数多の住宅がある。
それでも、彼らには生活の気配というモノが欠けていた。
みんな、あんなにも静かなのに、
ビルの窓一枚も、学校のイス一つも
何一つ、僕のモノなどではなかった。
街は皆のための、ある種普遍的な場所として機能していた。
僕らの頭上で。
でも、どうやったってそれを見ることなんて出来なくて、
僕はただ想ってる。
Fin.
浮かぶ街
普段は短編の小説を投稿しています。
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