そこは、かなり歴史のある蝋人形館だった。派手さはないが、リアルな人形をそろえている。 その中に、中世ヨーロッパ風の服装をした西洋人の人形があった。ずいぶん昔からあったらしく、いつ頃からあるのか知る者は、もはや誰もいない。 最初に異変に…
女性の化粧ほどではないだろうが、男性にとって毎朝の髭剃りは結構面倒なものである。 タカシの場合、電気カミソリではなかなかスッキリ剃れないため、石鹸を泡立て、安全カミソリを使って剃っている。人によって違うだろうが、毎朝確実に十分以上…
晴れた日の午後。青い空に広がる真っ白な雲の向こうから、それはやって来た。 青と白の二色で構成された空に、ポツリと現れた赤いシミ。それは見る間に大きくなって、広告用の飛行船ほどになった。 しかし、それが飛行船などではないことは、その動きで…
《本日のテレビ授業参観はスペースコロニー第三小学校五年三組です。視聴覚教室で行われた歴史の授業を見てみましょう》 三十名ほどの生徒に向かって、女性の教師がしゃべり始めた。「さて、みなさん。前回までは資料ばかりで少し退屈したでしょう…
学校の帰り道に宇宙人に出会ってしまったぼく。地球から離れ、新しい刺激が待っている宇宙へと飛び出すのだけど・・・。
何でも盗み出す事のできる大泥棒ホワイトはある依頼を頼まれた。ある会社から大金を盗み出せとの事だ。果たしてホワイトは依頼を遂行する事が出来るのだろうか。
空に浮かぶ学術機関。 遠くに遠くに進む推進力には限りがない。 ルナ、六歳の少女もきっと同じ。 だけど、見下ろすと地球という青白く光る球体がある。 ――その日、ルナは天才科学者、南原秋蔵と出会うのだった。
ある日突然、特殊な能力が開花することがある。ほとんどの場合は子供の頃の話で、急にすごい絵を描いたり、円周率を何十桁も暗記したり、といったことだ。大人になればそんなことはないだろうと、ヒロシは思っていた。 あの日までは…
高校3年生の少女縹マリ(ハナダ マリ)は父親からの虐待や祖父と祖母の突然の他界に耐えかね、自殺を図った。しかし、何者かに連れ去られ自殺は失敗に終わる。マリを連れ去った者の正体、目的、謎は深まっていく。 他サイトにて掲載済みの作品です。(小説家になろう)
午後の外廻りは誰しも眠いものだ。缶コーヒーでも飲もうと、大久保が道路脇の自販機にコインを入れようとした時、ふと、背後に人の気配を感じた。振り返ると、ひどく疲れた様子のサラリーマン風の男が立っていた。髪はボサボサ、無精髭を生やし、だらしなく…