ドアをノックすると、間違えようもない和美さんの声で、「どうぞ」の返事。 中に入ると別世界だった。これが病室かと思うほど、華やかな彩りであふれてる。お部屋の香水を持ち込んだのだろう、匂いまで違う。その環境で、おねえさんは嬉々として僕を迎えてくれた。 「よかった、生きてた」と「生きててよかった」、二つの思いを同時に味わった瞬間だ。
黒石御影がなぜ幽霊が見えるようになったか理由がわかるかもしれない。 「体験礼拝」の名目で、ついに御影の家を兼ねたダラネーナ教団の支部に乗り込んだ主人公。 しかし、なんたる礼拝だろう。 けたたましいことは聞かされてたが、いざその場に身をおいてみると、たまったもんじゃない。まるで夏祭りと葬儀とを一緒にやってるような、厳粛きわまる騒々しさ。 「カーン、カーン、カーン! 七難ボジャイ、八苦ダラネーナ! チーン! ポコッ!」 吹き出すのをこらえるのにもう必死だ。
もともとは、黒石御影も普通の子だった。 御影の家も普通の家だった。両親も他の家族もごく普通の人ばかりだった。 「だった」と過去形を繰り返したのは、今はそうじゃないからだ。 ある時を境に、御影の世界はどんどん普通から離れていった。
自分に悪霊なんてとり憑いてるわけがない、そんな風説に負けるかと勇んで学校に向かう主人公。だがあり得ない妨害ばかりが続けて起こり、なんとしても学校にたどり着けない。そうするうちネットでも噂は全国的に広まり、いよいよ孤立は深まっていく。 頼みの綱のおねえさんも食中毒で入院だし……さあ、どうする?
教室で頻発する異常な事件。 主人公マモルくんのクラスは「呪われた教室」としてネットを通じ、とうとう日本中の話題に。 しかもみんな、マモルには悪霊がとり憑いてるという噂を真に受け、「おまえが来るからこうなった」と非難されるはめに。 さあ、どうする?(どうしようもないがな)
幽霊がとり憑いてるなんて言われたことから、とんでもない運命を背負い込むことになる高校生の物語です。 なお執筆中で徐々に書き足していきますが、かなりの長編になるかもしれません。
「課長、秘密が守れますか?」 個人的に相談があると言ってきた新入社員の野田にそう聞かれ、人事課長の奥山は心中やれやれと思った。だが、これくらいの無礼に一々腹を立てていては、人事課長など務まらない。「心配しなくていいよ。わたしには守秘義務…
謂わば、先に著した「私見 昆虫記」の“外伝”的エッセイで、とりわけ“害虫”にスポットを当てた内容になっております。 「昆虫記」より更にショッキングな描写もあります。 なので、特に虫が生理的に無理な方は、“要・閲覧注意”でお願いします!!!!
成績優秀、スポーツ万能、何もやらせても必ず器用にこなす、一条加奈。でも本性は、ゲスイし口が悪い、だらしないの最悪の塊である。 そんな加奈はある日学校で願いを叶えてくれる丘があるという噂をきくと、どうしても叶えたかった願いを叶えて貰いにいく。 でも願いを叶えるには常に代償がいる。 願いと引きかえにとんでもない代償を渡してしまった加奈の運命は…。 願いを取り消すために必死に生き残ろうとする加奈とその仲間の物語。 ※ファンタジーではありません 小説家になろうからの転送 http://ncode.syosetu.com/n1555cu/
『訳あり』と銘打ちましたが、単純に掌編としても短すぎる作品をひとまとめにしました。 『夢の国』『路面電車の少女』『実は私も』『サンタさんはお父さん』 ――の四作品、合計3068文字。
「あなた、またブツブツ歌ってたわよ」 妻にそう言われ、遠藤はハッとした。「ああ、そうか。すまん」「悩みごとなの?」「えっ、どうしてわかった」「やっぱりね。だって、あなたが『迷子の迷子の子ネコちゃん』って歌ってる時は、大抵そうだもの…
店内のテーブルで今日の売り上げを計算していた坂上は、人の気配にハッとした。「副店長、戸締りお願いしときますね」 最後まで残って後片付けをしていた、一番若い板前の米田だった。「ああ」 坂上は、ざっと店内を見回って必要のない照明を消し…
食べ物の好みというのは、地域や文化によって千差万別だ。以前、『イスラムの人たちはブタ肉が食べられなくて可哀相ね』と言ったアホなアイドルがいたらしいが、逆に、オーストラリアのアボリジニなどは『文明人はイモムシが食べられなくて気の毒だ』と…
京都府亀岡市の山中にある社、『三原稲荷神社』。通称、『廃神社』。 女子高生、橘 三咲は、とある縁からその廃神社に足繁く通う物好きの一人。神社の宮司代務者を名乗る青年、狭間とはそれなりに親しく、くだらないことから悩み事に至るまで気軽に打ち明けられる仲である。 ある日、いつものように学校帰りに訪れた廃神社で、他愛のないお喋りから、かつてこの神社で起こったと云われる伝説を狭間の口から聞く。それはある二人の男女の、忘れ去られた恋の話だった――。 時は遡り、世は宝永三年の花見月。 丹波国亀山の山中にある『三原稲荷神社』の巫女、葵は、育ての親にして神社の宮司を務めていた翁を喪い、途方に暮れる日々を送っていた。 そんな葵の前に、自らを『思想家』と称する一人の賽銭泥棒が現れて――? 不自由な巫女と、化外の力を持つ思想家が織り成す異聞奇譚!