和菓子屋の一人娘林晴子は花が大好きで大学を卒業後家業を継がずに花屋に就職したが、そこで堀口伸と言う青年に出会い恋に墜ちる。 堀口はふとしたきっかけで得体の知れない組織に引き込まれ仕事を手伝う内に不慮の事故に遭い他界してしまう。 この物語は晴子が今は亡き恋人の墓参りをする所から始まる。 堀口の職場の同僚橋口理恵は密かに堀口に好意を寄せていたが、堀口が関わった組織に興味を持ち嗅ぎ回る。だが橋口理恵が晴子に近付いた事が組織の者に知られ、理恵と関わりを持ちたくない晴子は誤解されて、それを良としない組織に目を付けられ組織員剣持弥一に拉致・誘拐され、辱めを受け余計な事に首を突っ込むなと脅され、晴子は拉致した男の子供を懐妊してしまうのだが……。 この物語は晴子の周囲で次々と起こる事件を展開しつつその中で晴子が健気に生きて行く姿が綴られている。
武田は急な出張で地方に一泊することになった。とりあえず眠れさえすればいいので、ネットでなるべく安いホテルを検索すると、『全自動ホテル』というワードが目に留まった。低料金なのに、高級リゾートホテル並の気分を味わえるという…
「あなた、これ何よ」 家を出てすぐに財布を忘れたことに気付いた橋本が玄関に戻ると、待ちかまえていたらしい妻にそう聞かれた。何のことかと聞き返す前に、橋本の財布をその場で開き、背表紙の裏側から小さく折りたたんだ紙幣を出して見せた。「あっれえ…
ぼくがおかしなユメから目をさますと、へやのようすがかわっていました。 なんだか古くさくなっている上に、ぼくのべんきょう机がなくなっていて、かわりにもう一台ベッドがあります。それに、なぜだか体がおもたく、コシのところがズキンズキンと…
久しぶりの休日に山道をドライブしていた長谷川は、そろそろ昼時なのに食事ができる場所が見つからず焦っていた。焦って知らない道に入り込み、余計に人里離れた場所に迷い込んでしまったようだ。 ようやく、レストランらしき建物を見つけ…
トシオが生まれるとすぐ、宮参り用品のDM(ダイレクトメール)が両親の元へ届いた。 翌年には端午の節句の武者人形のDMが来た。 二歳になると、英才教育のDMが来るようになった。 三歳のときには七五三用の着物のDMが舞い込んだ…
某テレビ局のスタジオ。 終末論をめぐってパネラーが二手に分かれ、今まさに議論は白熱していた。 物理学が専門の大木という大学教授がやや興奮気味にしゃべっている。「あんたたちは何かというと人類の終末だの、この世の終わりなどと世間の不安を煽るが…
朝、家を出ようとした高木は、妻に呼び止められた。「あなた、せっかく作ったお弁当を忘れないでよ。それから、今日は急に雨が降るかもしれないそうだから、傘を持って行ってね」「ああ」 上の空で返事をし…
歴史観測能力者によって、大きく歪んだ「現代」。 企業が、それぞれの「都合の良い未来」を守るために「殺人者」を放つ狂った世界構造によって、 翻弄されていく、元警察官の男と二人の少女。 命を犠牲に未来を掴むことを求められた三人が至る果ては? これは、罰へと至る咎の歴史、そのはじまりの物語である。
午前中の得意先回りが予定より早めに終わったため、佐々木はいつもの公園で時間を潰すことにした。大時計の前のベンチが運よくあいていたので、そこに座る。昼のミーティングには戻らないといけないから、一目で時間がわかってちょうどいい…
「ツイてねー」というのが最近のシンジの口癖だ。 立ち上がると足の小指を角にぶつけるし、歩いているとイヌのフンを踏むし、車に乗るといちいち赤信号にひっかかるし、メモを書こうするとボールペンのインクが切れているし、パソコンを立ち上げようとすると…