物心がついた頃から、同年代の子達との”ズレ”を感じていた琴音。 良くも悪くも聡かった彼女は、世間から”変人”に見られては今の世の中では排除される現実を知り、 ”本性”を晒しては生きていけない事を幼いながらに悟り、仕方なく”良い子”を演じながら日々を過ごしていた。 ”本当の自分”を押し込めて隠し誤魔化し通していたある日、運命的な出逢いを果たす事となる。 それをキッカケに、目に入る景色が灰色一色だったのが、徐々に色彩を帯びていき、それにより少しずつ歓びを覚えていくのだった。 …ある大きな対価を払いながら。
昭和8年から始まる物語で、軍人が日本を掌握していた時代、神戸の遊郭を営む尾山晋太郎。 地元の基地の軍人合田重吉と丸菱銀行の頭取金子の二人は、サドの仲間で大阪の老舗の材木問屋檜屋の美人姉妹に、目を付けて自分たちの 遊びの道具として、自由にしようと色々な手立てを講じて、華と幸を手に入れる策謀を巡らせる。