病んだ零才

後にも先にも無い今を生きたくて
独りよがりの世界に個を逃避させた
一つも輝く星が無い宇宙の中
人間とも言えない僕だけが光を手に入れた

神様からは何も知らされていない 
だから軽はずみに言える筈もない
神様は空洞の多い心臓の創造者
ただそれだけが存在する理由だった

病んだ零才 青色の隙間から世界に射した
白く美しい物に聖なる感動を覚えた
後に大量の涙を降らす事を未だ知らずに
病んだ才能を崩壊した帝都で解放していた
開け放された扉に群がる群衆を潰した
鳴る鐘の音に耳を清まして覚醒を起こした

何処の誰でも無い命に成りたくて
一人きり千鳥足で俗世に別れを告げた
生きた確実な証明も無い無数の森
生物とも言えない思想だけが術を手に入れた

自身からは何も残されていない
長年を費やして何をしていたのか
意識はその場凌ぎの単なる虚勢で
勘違いは涅槃の窓で誰もが悟った

病んだ零才 刹那と乖離した永遠の園で
初めて自らの過ちに殺意を覚えた
先に大量の血を抜かれる事を未だ知らずに
病んだ細胞が活性した体内で暴動していた
離れ話された者は下に続く愚者を蹴落とした
腐る去る者の足音に気付いて幻覚を起こした

病んだ零才

病んだ零才

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-04-30

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