幻覚犯

嗄鳥鳴夏

別世界にいる
多分今此処にある肉体は想像で
儚く散った者が眺めている夢

目を閉じていると
悲惨な現実に飲み込まれたとしても
幸せだったことにさえ気付かずにいられるから
平気で手を離すことが出来る

例え 人生が無間地獄だとしても
例え 誰かに首を絞められたとしても
 息をしている 息をしている

例え 何かに首を切られたとしても
抵抗などせずに 安らかにこの世から
 息をしながら 解脱出来る 

新世界へ行く
道すがら省みる過去は未来へ
続く叱咤激励 転ばぬ先の杖

言葉を使っていると
 心臓が思想に噛み砕かれたとしても
相手の仕業にして気付かずにいられるから
平気で肩を押すことが出来る


例え 顳顬が撃ち抜かれたとしても
例え ある日突然発作が起きたとしても
 息をしている 息をしている

例え 自ら身を投げ出そうとしても
抵抗などせずに 安らかに来世へと
 息をしながら 脱出出来る

幻覚犯

幻覚犯

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-12-10

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