灰銀 佐秋 日は高く昇り続けて、地は濡れて崩れ落ちゆく。断崖は黒く聳(そび)えて、寂寥の風が吹き上げている。枯れてゆく……水をやる……波濤は無限に花びらを呑み、いずくの浜に着くとも知れぬ。幾千年も人に知られず、蝿の複眼の一つにぞある。 灰銀