現在の症状(1)

 この辺で発病後4年を経過した私の病状をチェックしてみたい。
ALSの基本的症状(全身の筋萎縮を伴う筋力低下による諸々の運動機能障害、例えば四肢機能障害、嚥下障害、構音障害など)は徐々に進行している。典型的なALSは進行が早く発症後3年ほどの命だが、私の場合は主治医から「flail arm 型」と言われていて、進み方は少しゆっくりらしい。幸いな事に4年経ってもまだ呼吸器は着けていない。この僅かな幸運は病型のほかにリルゾールとエダラボンの併用効果によるものかも知れない。
先日のバイタルサインは血圧115-60、脈75、酸素飽和度93%、平熱だった。半年前の血液検査もほぼ正常。今後に命の危険が有るとすれば転倒と誤嚥である。以上、要点を簡単にまとめてみた。
 さて、私がいま関心を持っているのはALSになってから出てきた皮膚炎のことである。予想もしていなかった。
顔と頭が油ぎって皮膚表面がボツボツして来た。軽い痒みを伴い、陽に当たると顔が赤くなる。脂漏性皮膚炎と思っているが、車椅子で皮膚科受診するのは大変だから、先ず妻に相談することにした。妻は家庭医学のテレビ番組を時々見ている。そして世の女性達と同じくシミ,シワ、タルミなどに関心を持っているから、もしかしたら皮膚治療に造詣が深いかも知れない。
 それで、我が家のスキンケアのエキスパートはどう答えたか。妻は「水分摂取が少なかったり、ゴシゴシ洗ったりすると乾燥肌になる。すると保湿のために皮脂が過剰に分泌される。対策は、もっと水を飲むべし。保湿クリームを使うべし」 と治療法も含めていとも簡単に説明してくれた。明快だ。新聞やテレビから得たものとはいえ、妻の医学知識はなまじっかなヤブ医者より説得力がある。
そういえば確かに私は誤嚥を恐れて水分摂取が少なくなっている。
しかし、この皮膚炎に関して私は妻と別の見解を持っていて、水を飲めば治るというような単純なものではなく、私の脳の病的神経細胞が皮脂の分泌をコントロール出来なくなったためだと思っている。水分犯人説(妻)と神経犯人説(私)とどちらが正しいか、あるいは両方とも間違いか興味があるところである。
 でもまあ、ここは妻に花を持たせて様子を見る事にしよう。
私はそろそろ「胃ろう」をつくる時期にきている。そうすると十分な水分摂取が可能だ。もし皮膚炎が全快して妻の説が正しいと実証されれば、家族みんなから妻は免許証が無くても名医と言われるだろう。私はそうなる事を望んでいる。
  2018/11/16

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