頭の中から
珈琲(コーフィー)のような
黒くて苦いものを取り除いて
そうやって抽出した液体を少し口に入れると
(チャーイ)のような甘みがした

その液体は皆練(かいれん)色をしていた
どんな穢れも赦して
包み消してしまうその幸せの色に
私もつい身も心も投じたくなる

息苦しさを感じることなく
深々と沈んでゆこう
苦くて黒いさまざまを
同化して消してしまおう

珈琲が胸を溺れさせるほど満たされる
そうなってからじゃ遅すぎるから
嘘は偽りかもしれないが
偽りが癒やす心に偽りは無いのだ

「私こそが救世主なのだ」

全てを赦してしまう色をした
甘美な(チャーイ)はそう私に(うそぶ)いた気がした

 復帰後初の作品です。過去のアイツに送ってあげようという気持ちで作りました。
 アイツは絶望が好きでしたから、私は敢えてアイツに絶望から逃れる救済の詩を送りたいと思います。年上のおせっかいもありますが、何卒お許しを。
 さて、私は実はインドアなのです。よって、あまり洒落たお店に行くことが少ないのですが、先日、たまたま出先で時間的余裕があり、喫茶店に立ち寄りましたところ、チャイティーなるメニューがありました。
その不思議なネーミングに惹かれて、ためしに頼んでみると、強烈な甘みと複雑な香りが口と鼻を襲ってきました。ただ、初めて飲むのに馴染みがあってホッとするような、そんな不思議な体験を元に書きました。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-08

Copyrighted
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