三角関係

 今の季節、私とスズメとヒヨドリは毎日顔を合わせるが微妙な三角関係である。比較的に良い関係なのは私とスズメだ。それも私が一方的に可愛がっているだけで、スズメは屑菓子を食べ終わると私を警戒してサッと何処かに行ってしまう。ヒヨドリとスズメは大抵一緒に現れるが特に仲が良いという訳でもなさそうだ。ヒヨドリは屑菓子を独り占めにしようとスズメを追い払う。かと思えば、ヒヨドリは屑菓子を半分残しておき、スズメがそれに寄って来るのをレモンの木陰から見ている。スズメが恐る恐る近づいてくると、待ってましたとばかりに追いかけ回す。まるで弱い者いじめを楽しんでいる様だ。
「餌場荒らし」のヒヨドリは悪食で何でも食べ、そこらじゅうに糞をする。スズメに意地悪したり、折角出てきたブルーベリーの花芽も食べるから、ヒヨドリにちょっと意地悪実験をしたくなった。煎餅を食べにくいように大きめに割って置いてみたが、あっという間に無くなった。では、七味唐辛子を小さいおにぎりにトッピングしたら辛くて食べないだろうと思ったが、それも無くなった。次におにぎりを野沢菜の葉で包んでみたら、それは何日たっても手付かずだった。ところが、中身が見えるようにしたら、すぐに食べてしまった。その理由を検討したところ、妻はみどり色を食べ物と認識しないのではないかと言った。私は小鳥の視力は抜群だが嗅覚は良くないのではないかと考えた。はたして真実はいかに。
三角関係の中に「ゴミ箱荒らし」のカラスが割り込んでくると四角関係となり、スズメとヒヨドリは恐がって逃げる。そこにカラス嫌いの妻が追い払いに出てくると五角関係となる。
対立関係にあるうちは何角形になろうともゴツゴツしており、多角形になればなるほど複雑化して行くのだろう。全ての角が取れて仲良し円満にならない限り円形になる事はなさそうだ。これが生命系の宿命なのかと思う。
 一方において太陽、月、土星などの天体は遠目には丸く見え、しかも美しい。質量の巨大な非生命系では物理運動、化学変化、衝突、噴火、風化等を繰り返しながら気の遠くなるような時を経て、最後には丸く収斂するのだろうか。大気や海でおおわれた地球も球体である。宇宙飛行士の話によれば、地球は丸く、青く、美しく、そしてかけがえのない惑星だという。そうか、地球に住む生命系にとっては素晴らしい場所がすでに用意されていたのだ。であれば、真ん丸い地球に、生物が真ん丸い輪を成して仲良く住めばユートピアである。しかし人間の社会だけでさえ、現実的には多角形が円形になるのは難しそうだ。誰もが丸い円になる事を願っているのだが・・・。   2018/3/14

三角関係