短歌紀行「加太の瀬戸」

一昨年の夏に続いて介護疲れの妻を今年の12月20日に加太の国民休暇村の温泉に
連れて行った時の印象を歌にしました。

加太の瀬戸 下る潮の直中に
僚船の灯の揺れる暁



紀の国へ陽を追う窓に茅渟の海
岬の陰に見えつ隠れつ

木枯らしの止みて嬉しや直走る
ハンドルの手に眩しき陽射し

遥かなる四国の峰に陽は入りぬ
有り難きかな晴れの一日

夕暮れて宿の眼下に加太の瀬戸
潮ゆるやかに友の島影


今は冬 夏の漁火恋しくも
天にオリオン舞いてさざめく

月細く眼下の海は暗けれど
露天の湯煙り星空までも

共の湯に浸かるは東の人とかや
西の名所を巡る旅とか

その髪のいまだ黒きに歳問わば
七つも若きかあな羨やまし

ただ一人 深夜の湯船に身を沈め
たつ湯煙に人生を想う


暁の暗き海原 灯を連ね
沖を目指して僚船の行く

真にこの 沖一面の漁火は
星降りて浮く神世の光景

白々と明け行く眼下の加太ノ瀬戸
花弁の如くに舟影残りて


帰り道 海は朝陽に輝きて
妻の笑顔に胸撫で下ろし

有り難し いと美しき加太の海
天空の湯にまたの日や観ん

短歌紀行「加太の瀬戸」

加太の瀬戸を見下ろす全館オーシャンビューの眺めは素晴らしく
湯、料理とも納得のいく宿で、お勧めです。ぜひ行ってみてください。

短歌紀行「加太の瀬戸」

和歌山の加太の瀬戸を見下ろす高台にある休暇村の 温泉に行った印象を歌にしました。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-21

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