カフェ

隣の人のリュックが机の上で
うごめいていた

食べていたジェノベーゼを零して
自分がいま、メトロにいることを知る

あの、リュックの中に、
誰かの心臓があるんです

よかった、誰も寂しく無い

薬を飲んで無いのに
昨日は8時に寝たのに

やっぱり今日も眠かった

人と話すのが怖くて
怯えてるところは見せられなくて

必死に笑顔で社交辞令

大きな声で、公共の場で喋る人
自分がこの世で一番正しいって思ってるみたいだから、羨ましかった

泊まったホテルは狭かったから
はみ出したままお風呂に入る

結局、ユニットバスって誰からも好かれてないよね?

シングルのはずがツインだったから
独り言が余計に増えた

寒くないのにコートを着る
飲みたくないのにアイスティーを頼む

はやく無関係になって
笑っていたかった

「幸せになりたい」それは、嘘です

傷付いて生きている方が、
真実に近付けて楽だった

お祭りも、ムードも、ブームも、
全部うんざりだった

笑っていたわたし、

大丈夫、過去は全部きれいなほんとう

カフェ

カフェ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted