calda

VIPルーム

クリーム色した
君の破片
ワイングラスに入れちゃって

あたしの自由、全部注いで

夢なんて無かったよ
幻想は枯れてたよ

ここは、砂漠の真ん中だ

メイクボックス広げてごらん
どれもあたしに合わない色

どれも君を綺麗にしない

お菓子の袋はち切れて

あたしと君とで笑い合おう

どうやったって綺麗になれない
どうやったって上手になれない

いつでもいつでも人が怖い
いつでもいつでも世界は怖い

君は破片になっちゃって

今日もワイングラスの底にいる

あたしと君とで笑い合おう
あたしと君とで笑い合おう

medicine


大嫌いを重ねたミルフィーユは
とってもおいしくって
わたしは毎日そればかり食べている

嫌い、や、大嫌いは、
どうしてこんなにおいしいの?

しんじゃえを包んだクレープは
とってもおいしくって
わたしは自分へのご褒美にしている

しんじゃえ、しんじゃえって
どうしてこんなに甘苦しいの?

わたしの甘い生活に、
致死量を超えた毒が踊っている

大嫌い、しんじゃえ、大嫌い、しんじゃえって、そんな風に生きてたら、虫歯になっちゃって、毎日毎日泣いてるの、

生活に紛れるゲリラ豪雨

飴が降るの、わたしの舌先

シュガーホリック

死んじゃった脳細胞は飴細工
狂って飛んだ螺子は太っていた

お砂糖依存症のまま、ゾンビみたいに生きてみて、君を見つめる目はどこまでも、濁っていてほしくって

宇宙にばら撒くザラメ糖を、ジャリジャリ鳴らして、厭で厭で仕方ない生活を、コーティングされた神経を、ロリポップと一緒に並べてみる

わたしの眼球は
食紅の色と混ざり合う

濁って、濁って

あなたへの好きすら、
胸焼けに消えちゃった

濁って、濁って、

わたしは、どこまでも、苦しかった

いつまでも、いつまでも、苦しかった

calda


屋上から
注がれた
お湯を

白い掌に
掬い取って

あなたのことを
見つめてみたら

湯気の向こう

柔らかくなった
あなたの影

白くなった
あなたの影

月を見て
予感を集めて

お湯はだんだん水になる
コンクリートに吸われちゃって

夢と現実の境目が無くなる
わたしが見ていたものがなんなのか

わからなくなっていく

わたしが存在していたのか
そもそもわたしが湯気だったのか

屋上から注がれたのは
屋上から注がれたのは

なんであったのか

あなたはいたの?
そこに、いたの?

わからなくなっていく

この胸に残った
僅かな温度に

全てを訪ねることは
世界がひっくり返ることで

とっても酷だと言われることで
わたしは、全てを、わからないまま、

呼吸を続けていた

今日も屋上から注がれたお湯を
白い掌に掬い取る

calda

calda

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-16

Copyrighted
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