*星空文庫

祈り

藤里 圭 作

  1. 鈴の音
  2. 薄暮時
  3. 祈り

鈴の音


ここから飛び降りて
怪我をして
ここから躓いて
挫折して

転ぶ度に鈴を鳴らせば

いつかあなたは振り向いてくれる?

薄暮時

しんじゃいたいわたしのこと

きみは、なにもしらない

きえちゃいたいわたしのこと

きみは、なにもしらない

しんじゃえ
きえちゃえ

きみに、いわれたら、

まよいなんて、なくなるというのに、

きみは、ざんこくすぎる

きみは、つめたすぎる

きみに、おわらせてほしかった
きみに、つけられたきずだけが、

おまもりに、なったのに

祈り


体が遠い、朝

全部が、先を歩いている

残された、私は、私と、呼べるのか

わからない、わからないと、呟いて、
冷蔵庫の中のものを温めて、胃の中に詰め込んでいく

外は、風が強かった

暴風警報が、端末に滑り込む

先を歩いている「私」は、外出した

きっと、強風に飛ばされる

私は、私と、二度と会えない

「誰かが、あれを、愛してくれますように」

胃の中に、今日動くためのカロリーを詰め込みながら、遠くなった私のために、祈ってあげた

私と離れた私を「あれ」と、
呼んでしまうことは、
もう、私ではなくなったと、
そういうことであった

私は、実態も、実感もないまま、
増幅する、何らかの感情に、
錠剤を与えて、

謙虚で親切で、無欲な微笑みを浮かべて、今日1日を生きながらえていられることを、私のために祈った

『祈り』

『祈り』 藤里 圭 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-11-15
Copyrighted

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