*星空文庫

スマートフォンの詩

藤里 圭 作

  1. 罪状
  2. スマートフォンの詩
  3. 木枯らし

罪状

私が、嫌いな人を
他の人も、嫌いだということを知るたびに、嫌いな人に、嘘偽りなく優しく出来ることは、悪いことだろうか

私は、結局人を見くびっている
それを悟られないように、怯えて暮らしている

私のことをみんなが嫌ってくれれば
私は私にも、嘘偽りなく優しく出来る気がした

スマートフォンの詩


朝起きて
昨日死んだ星の遺言を確認する
端末に映し出される稚拙な言葉

確認したら廃棄する
残しておいて
どうなると言うのだ

冷蔵庫から寿命を縮める飲み物を出して、迷わず飲み干す

生きるしかないのに、
生きろってメッセージを、
朝のニュース番組から読み取れず

死んでいる心拍数の
最期の声を再生してみる

がっかりするような音程で
私の朝は憂鬱なんて美しいものにもなれず、何にもなれず、掃き溜めみたいな部屋から体を引きずって這い出ている

この世の、何処かにいる、
憂鬱みたいに、
うつくしくなりたかった

木枯らし


人は人に
冬を押し付け合いながら

春を享受している

厳しい冬とは、
限られた人間に訪れるようで、

真実は、あの子の、死んじゃえって言葉一つで、消えてしまった

わたしも、あの子と、同じように、死んじゃえ、死んじゃえって繰り返した

誰に言ってるのかわからなかった

誰にも死んでほしくなかった

赤信号、横断歩道、舞う枯葉

解けたスニーカーの紐

躓くわたしのつま先

命の価値は、そこにある
流れる車と、流木たちの見る夢は

確かに、つながりあっている

わたしの、死んじゃえ、が、わたしに、跳ね返って、わたしの心臓を、突き刺した、

誰にも見てもらえないまま、
誰にも認められないまま、

わたしは、見えなくなった、星の光を、勝手に、勝手に、哀悼していた

『スマートフォンの詩』

『スマートフォンの詩』 藤里 圭 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-11-14
Copyrighted

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