*星空文庫

恋文

藤里 圭 作

  1. 恋文
  2. ファンレター
  3. 愛の言葉

恋文



あいも変わらず

あなたが好きです

最近のわたしは、偶にしか、生き返りません

あなたの目に、入れないまま、
願い事は、全部、全部、叶わないまま、

誰かの気まぐれ
誰かの不機嫌
誰かの正論

全部、全部、わたしを、串刺しにします

だから、殆どの日々を、死んで、過ごすことに、決めました

あなたは、もう、わたしを、必要としない、

あなたは、もう、わたしを、心配したりしない、

あなたは、最初から、わたしを、気に掛けたり、していなかった

わかっていた?

わかっていた?

ほんとうに?

ほんとうに?

どこにも、放出できない、わたしの、黒々とした、何か、が、わたしの、喉を、締め付けて、

どこにも、吐き出せない、わたしの、
切々とした、何か、が、わたしの、夢を、惨殺する

わたしが、泣いても、笑っても、生きても、死んでも、自分のこと、たくさんたくさん、痛め付けても、

あなたは、わたしのこと、すっかり、忘れて、暮らしている

あなたは、わたしのこと、すっかり、いらなくなって、暮らしている

あなたが、あなたの、大事な人を、抱き締めて、わたしのこと、全部、忘れて、幸せに、幸せに、暮らしていくことで、

わたしは、全部を、諦めて、
二度と、希望になんか、騙されないで、弱いまま、弱いまま、諦めて、諦めて、絶望的な、微笑みを、浮かべて、浮かべて、

寿命まで、走って、走って、早く、早く、終わりますように、って、

二度と、生きたりしませんように、二度と、あなたを、好きになりませんように、

祈って、願って、叫んで、泣いて、

自分の火で自分のこと、燃やせるようになるまで、薬にもなれず、毒にもなれず、水にも、空気にも、なれないで、死んだまま、生きていくんだ

あいも変わらず

あなたが好きです

だから、わたし、地獄にいるの

あなたのことが、好きだから、ずっとずっと、死に続けるの

あなたのことが、好きだから、ずっとずっと、血を吐いてるの

ファンレター


君の生き方は祈りだった
置き場所のなくなった心とか
どこにも行けなくなった言葉とか

骨董屋のように陳列して
君はその奥に座っている

生きたり、死んだり、生まれ変わって、また会ったり、そういうサイクルに飽きちゃったり、

僕は、本当に、忙しく過ごしている

たまに、君の生き方を思い出すけれども、そういうのって、案外うまくいかないんだったね

本屋でしか、息を吸えない君のこと、
僕は、あまり、理解できなかった

戦わない君のこと、僕は、守りたいって、一時期思ったりもした、

でも、人が人を守るって、どういうことなのか、ついぞ、僕は理解できなかった、そのまま、僕は、年老いて、眠ることになった

僕は、たぶん、君になりたかったんだと思う

そう言ってみたら、君は寂しそうに笑って、僕のこと、やんわり止めていたね

君は、行き場のないものばかり、箱に詰めて、僕に黙って、どこかへ行ってしまったね

雪に混じって、君の声だけ、聞こえる時が、あるけれど、

もう、君は、僕にわかるようには、話してくれないね

もう、君は、地上の言語を、捨ててしまったね

僕は、相変わらず、傷付けて、傷付いて、そういう、人間ごっこばかりで、過ごしているよ

この間は、白波に、君の腕を見つけたよ、手を振ったけれど、君は、沖まで引き摺られて、僕のこと、わからなかったみたいだね

相変わらず、1日は、憂鬱で、夕暮れの消毒液はとても、しみて、僕は、自分の感情を、把握しきれないまま、雑然と生きてるよ

愛の言葉


あなたの沈黙はやわらかい
材質に気付くまで、
固いものだとばかり、思っていた

あなたの沈黙はやわらかい
あなたはわたしを厭わない
そこにいられないわたしを厭わない

あなたが、好きです

ずっと、変わらず、一方通行のまま、
浄化と、抽象化の、境目で、眠ったまま、ずっと、ずっと、あなたが、好きです、

あなたの口から、
わたしを拒否する、
言葉が出ないうちは、

わたしの心は、衛星のように、
いつでも、あなたの心を周回する

あなたが、好きです、
ずっと、好きです、

気付かれないように
気付かれることを願いながら、

好きだって、繰り返している

『恋文』

『恋文』 藤里 圭 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-11-13
Copyrighted

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