天体望遠鏡の予感

発狂する宇宙

もう全部が厭だった

膨張し続けるという理論
爆発するという無責任

そのままでいたかった
大きくなること
自分の手足が伸びて
自分から離れて行くこと
こんな残酷な話に
流星群は切り裂かれている

体内で勝手に生まれて勝手に死んで
勝手に存在を巡って争って

「全員馬鹿だ」

宇宙は自分を掻き毟る
宇宙は髪を振り乱して
ベッドの上で七顛八倒

「全然効かない

全然

効かない」

レビューサイトで炎上してる
黒焦げになった星1つに
無に近い感情を抱く

黒い存在を蹴散らして

「もう疲れました

もう

疲れました」

ヘビーメタルを大音量で流して
髪を振り乱して

「変わりたくない」

全員に聞こえるように
全員に聞こえない周波数で

声帯から血を吹き出しながら

厭になるほどの青空に向けて
絶叫し続けていた

天体望遠鏡の予感

天体望遠鏡の予感

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-09

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