飛ばない烏

烏が飛ばない
虚脱した神経のまま
水溜りに浮かぶ

黒猫が心配そうに眺める
メジロは俯向く
スズメはおしゃべりなまま

烏が飛ばない
空は動揺する
大地は眠っている

虚脱した神経
空を見上げることもしない

私は出勤途中何度も卒倒しかける
黒い背中を見て呼吸を忘れる

烏が飛ばない
そのまま世界は回る

私は酸欠
黒猫は歩き出した
メジロは傾いた
スズメは喉を痛めた

烏が飛ばないなら、
私も飛ばない
声も上げず
烏がいない空を見る

ざわめいている空
精神疾患気味である

私は錠剤を血液に溶かした
烏がいない不安定な空を
空虚な目で見ていた

飛ばない烏

飛ばない烏

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted