夏はとある気配を纏っている


入道雲
向日葵
白いワンピース
麦藁帽子
自転車
スイカ
麦茶
かき氷

ああ、明るい日差しにじりじりと、その気配は炙り出されていく

私はいつも感じている

お祭りの後

いつも手招きをしている

くらくらするその気配

蝉の抜け殻
夕暮れの坂道
花火
祖母の家
田園
子どもの声

全てに纏わりつく

あの気配は、

なんであなたはいつもいる?
なんであなたはわたしを見てる?

わたしは手放しに

夏を迎え入れられない

くらくらしている
わたしに纏わりつく

蚊の鳴く声
蝉の鳴く声

抜け殻となった蝉
少年を追い越す蜻蛉

立っていられない
安らぎの中、
危うく揺れる、
知っていたであろうあなたは

あの気配
何度目の夏であろうと

わたしに纏わりつく

夏が来る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted