*星空文庫

【俳エッセー】 俳句入門講座を振り返る

万田 竜人(まんだ りゅうじん) 作

俳句入門講座を振り返る

~自然の中で楽しく学ぶ~

【プロローグ】

 最近、藤田昌也さんが主宰するホームページ「趣味?俳句でしょ!」において同人
の方々から、琴線が共鳴するようなメッセージをいただきました。

 ホームページ「趣味?俳句でしょ?」は、現在、19年も続いている人気コーナー
で、サイバースペース的には、俳句仲間にとって不可欠な存在です。

 その超人気のホームページが、最近、ゴールデンウイーク中に入口の看板は見える
のですが、入場できない状態になって、はじめての出来事ゆえにインターネット句会
同人衆も、毎日、入口までは来るものの肩を落として引き返していたようです。

 もちろん、私も、そんな仲間の一人です。原因は記憶容量の超過でした。オーナー
の藤田昌也さん(呼び名は、ま~さん)が気が付いてホームページはすぐに復旧・・・

 同人衆は、揃ってひとこと、「日頃から、日々、何気なく俳句を投稿・鑑賞できる」
環境に恵まれてきたことに感謝、オーナーのま~さんには、改めて感謝・多謝!


 ホームページ「趣味?俳句でしょ!」に、初めて俳句を投稿したのが、1998年、
あらためて、昔「俳句入門」講座で教わったことを書き留めたノートを開いてみると、
早稲田大学の高橋悦男先生(当時は英文科の教授)から、1回目の授業を受けたのが、
1998年5月10日(日曜日)、場所は、早稲田エクステンションセンターと記録
されています。

 そして、その年の7月に趣味俳句に初めて俳句を投稿して、オーナーのま~さんと
俳句談義や挨拶を交わしました。その時の俳句が・・・

「小さくも胡瓜の形花付けて」 万田竜人

 まったく素直に、小さな胡瓜の形に感動したことを俳句にして投稿してみました。

 そして、その後も投稿を続け、大みそかには・・・

「キッチンに蒸気が走る大晦日」 万田竜人

として、家内が、正月料理を仕上げて行く光景を銀河鉄道999に重ねて詠んでみま
した。この俳句は、句友の怪盗えびすさんから「メチャメチャいいですね」と声援の
言葉をかけていただき、すっかり、気を良くした覚えがあります。

 自分なりに前作二つを比べたときに、二つの句には有意差が感じられ、高橋先生の
講座を受けて、自分なりに好循環を生むことが出来たと判断しました。
 
 そのような振り返りから、かつての「俳句入門」講座のノートを振り返ることは、
自分にも大いにプラスになると考え「俳句入門講座を振り返る」と題してテキスト
風に、まとめてみることにしました。


第1部のタイトルは「自然の中で楽しく学ぶ」です。

~自然の中で楽しく学ぶ~

1.俳句とは何か

 石田波郷は、「俳句は私小説である」 といっています。

 これは云いかえれば「俳句は自分を主人公にした小説である」
ということになります。

「いつも来る 綿虫のころ 深大寺」 石田波郷

 石田波郷は、深大寺周辺を好んだこともあり、自分を主人公に据えて、このような
俳句を詠んで、自然の中に居る自分を楽しんでいます。

 横光利一(私小説家)が、波郷を師と仰いだことは有名です。俳句の道において、
波郷は水原秋桜子(しゅうおうし)に師事しました。

 この横光氏は「俳句は哲学である」といっています。哲学の根幹は「人間はいかに
生きるべきか」にあります。

 われわれ、一般人には、ちょっと難しい言い回しですね。

 一方で、俳句は「平易・平明」を特徴としています。

☆ 俳句の面白さは「季語」と「短さ」にあります。

☆ 虚子は「俳句は花鳥諷詠の文学である」と云っています。

☆ 花鳥諷詠の「花鳥」は文字通り「自然(人間)の世界」。
 「諷詠」は五七五のリズムを指しています。

☆ 花鳥は、芭蕉が最初に唱えた言葉と云われています。

☆ 虚子は、諷詠のリズムの大切さを強調しています。

☆ 俳句入門講座の高橋先生は、ご自分の作句経験からの言葉と
して「心に感じたことを五七五で季語を使って表現する文学」と
表現されています。

 高橋先生の言葉は、云いかえれば「俳句は、作句における自分自身の感動」を、
最重要ポイントにおいているということですね。

 高橋先生の俳句作りにおけるポイントを、もう一度、整理しますと・・・

◆1◆ 俳句は十七文字でまとめる

◆2◆ 俳句には季語を入れる

◆3◆ 俳句には自分自身の感動を反映させる

共通課題は・・・

「自分らしさを、どこに、どのようにみつけるか!」にあるようですね。



2.俳句上達の十か条
 
 俳句上達の十か条は、1999年の2年目の授業で学んだものですが、自然の中で
楽しく俳句を学ぶには、俳句入門の細かい説明は後にして、大括りに、上達の十か条
から入ったほうが作句のプロセスを好循環にもってゆけると判断して、先に紹介する
ことにします。これと併せて後述の芭蕉十訓と併読すると効果は倍増ですね。

☆★☆ 俳句上達の十か条 ☆★☆

◆1◆ 歳時記や古典を読む

 歳時記は「俳句月別歳時記」高橋悦男編がお勧めですよ。私の師系だからというこ
とではなく読んでいて、俳句が浮かんでくるという不思議な面白さがありますよ。

 古典では「徒然草」兼好・島内裕子校訂・訳がお勧めです。
 この本は最近になって、私の愛読書になったものです。徒然なるままに・・・

 徒然草を243段まで容易に読み通せるところが魅力の本です。
(ちなみに私は島内先生の授業も受けました)。

 古事記や万葉集・古今集・新古今和歌集もお勧めです。新古今和歌集の西行法師は
芭蕉が尊敬する師であり、歌人であり、和歌でありながら俳句を思わせる歌も多数集
められており、見どころがあります。

◆2◆ 俳句をたくさん作ること

 一度にたくさんつくることが練習には効果的です。
集中して十句、二十句と作れば、一句ごとに前進があります。毎日十句もよしです。
週に1回十句もよしです。一句創れば一句前進と教わりました。

◆3◆ ひとりよがりにならないために人に習う

 この点においても、趣味俳句の俳句道場的な環境は、最善の場ですね。とにかく、
恥ずかしがらずに、躊躇なく、趣味俳句に投稿すれば、趣味俳句の同人の方々が、
温かく見守ってくれます。

 なにせ「酷評がない」のが、なによりも参加しやすい環境と云えますね。

◆4◆ 句会に出る

 人数は10名以上の句会がお勧め。15~20名の句会ならベストと云えますね。


◆5◆ 自分の俳句を投稿する

 俳句の結社に参加して投稿するのも良し(ただし有料のことが多い)趣味俳句なら
オーナーのま~さんのご厚意で参加無料ですね。

◆6◆ 句友を持つ

 地元の句会なら句友もすぐに出来ますね。
 もちろん趣味俳句は、すぐに句友になれますね。

◆7◆ 目標を持つ

 句会や結社に入った場合は先輩を目標にすることができます。句会では、だいたい
三句くらいを持って行き、句友から1点、先生から1点という具合に、良い俳句には
評点をいただけます。これは作句の励みになりますね。

 初心者なら「年間10点くらいが目標」になります。

 結社の場合に年間で50点くらいになりますと、目安ですが、80人在籍の結社で、
ベスト20くらいに入ってきます。

「句会の益は独善を正すにあり」と云われていますから、相互研鑽・切磋琢磨の効果
が絶大ということでしょうね。

◆8◆ やめない・続けることがたいせつ

 五七五の五七だけでも出来たら書きとめる。後ろ七五だけでも出来たら書きとめる。
本田宗一郎さんが云われた「継続は力なり」は俳句にも共通しますね。

◆9◆ 自然に親しむ

 自然に親しむことで、感受性が刺激され、磨かれて行きます。吟行は感受性が相互
研鑽されるので俳句の上達には役立ちますね。自然界のなかでの切磋琢磨です。

◆10◆ 好きになる、本気になる

 良い俳句をたくさん読むことで、俳句が好きになってゆきます。
 この面からは「定本現代俳句」山本健吉著がお勧めです。

 飯田蛇笏が「子規は俳句の顔を、虚子は俳句の自由な手足を、山本健吉は、俳諧・
俳句の骨格そのものを瞭らかにした(一目瞭然にした)人である」と云っているほど
ですから、山本健吉さんの愛情に満ちた記述を読むことで、俳句を評する目も養われ
ますね。

 句会に出ると句友の俳句を評する場も用意されていますから「温かい眼差しで評す
るにはどうしたらよいか」という面からも貴重なアドバイスが得られますね。


3.芭蕉十訓

 ここでは私が、自分の俳句作りに納得と手応えを感じた「芭蕉十訓」を紹介します。
もちろん、この内容は早稲田大学の高橋先生から学んだものです。

◆1◆ 感動を持ち続け、そこに光を当てなさい

 どんなに小さな出来事でも、それがどんなに小さな物事でも、どんなに小さな変化
にも、それに感動する心を持ち続けなさい。そしてそこに光を当てなさい。

◆2◆ 自然の変化に目を当てなさい

 自然界は常に変化しています。そこに目を当てなさい。そこに光を感じなさい。

◆3◆ 眼前を基本に置きなさい

 当時は、客観写生という表現はなかったので眼前という表現を使っていますが、
眼の前の出来事や物事や、その変化を先ずは、客観的にとらえなさいという意味
です。

◆4◆ 俳句が出来たら声に出しなさい

 その心は、作りっぱなしは駄目。推敲や手直しで俳句は磨かれてゆきます。

◆5◆ 言い尽くさないことがたいせつです

 十の内の七か八を表現して、後は読み手の想像にまかせることがたいせつです。
俳句には説明は不要です。

◆6◆ 自然に従いなさい

 自然に親しむ。自然を大切にする。松のことは松に聞けという教えは有名ですね。

◆7◆ 理想は高く、しかし、やさしい言葉を使いなさい

 理想は高くもっても、お高くとまるなという云い方をしています。

◆8◆ 三歳の子供にも分かる俳句が良い

 初心の頃は、とても素直な良い俳句が出来ていたのに上手く作句しようなどと邪心
が働くと、分かり難い俳句になっていきます。

◆9◆ 人まねをしない

 自分で求めているものは、自分の言葉で表現しなさい。

◆10◆ 新しいものを求めなさい

 新しいものを花という表現で教えていますが、常に自分の花を求めて自分にとって
新しいものを探し求めて、自分の俳句を作るようにしなさい。

☆芭蕉十訓では、◆1◆および◆10◆が最重要と教えています。

~さあ吟行に出て、自然の中で、楽しく学びましょう~

 などなど、俳句入門で教わったのですが、今、振り返ってみて、自分自身で・・・
およそ1%も出来ていないのには驚きです。

(以 上)

『【俳エッセー】 俳句入門講座を振り返る』

『【俳エッセー】 俳句入門講座を振り返る』 万田 竜人(まんだ りゅうじん) 作

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-05-12
Copyrighted

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