赤目兎が目を瞑る

嘘つきだ 怖い人は  
泣き虫は 悪い人だ

冷たい空を見るのは
非常識を笑いたいから

適当に理由を付けるのは
単純な人になりたいから

生まれつきだ 赤い目は
浮かぶのは 赤い月だ

叶わない夢を見るのは
その存在を知らないから

約束に見切りを付けるのは
もう君を待ちくたびれたから

蠢いた 淡い陽は
気付いたら 消えていた

時たまに涙を流すのは
幸せなことを忘れたいから

あの人が飛び降りたのは
好きな子に会いたいから

生まれつきだ 赤い目は
浮かぶのは 赤い月だ

誰にでも罪があるのは
同じ世界で生きているから

赤目兎が目を瞑るのは
沈む景色に嫌気が差したから

赤目兎が目を瞑る

私は兎だけれど、人間の気持ちが分かる。
痛いほど、よく分かる。
そんな私も昔は、人間だったのだ。

赤目兎が目を瞑る

今日も、暑い。 誰かが泣いている、そんな気がする。 僕はと言うと目を瞑る。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-06

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