短歌のようなもの60首

自作の短歌のようなものを、ジャンル別に60首並べました。
詠題があるものについては、『題詠ったー』 ( https://shindanmaker.com/134995 )さんからのご提供です。

(2016.1.8「ワカシュー」より改題)

あの子たち


「心」って意味わかんないこの他に何をすべきかリストアップして? 


この春にこの歳で「あたし病んでるの」なんて贅沢言う普通の子


地下鉄に乗るのが怖い白川総裁似の人が多すぎるから


透きとほる水晶の如き美少女よ やめて電車でカップラーメンは 


「漆黒ノ 妖魔ノ如キ 我ガ戀ヨ!!」田舎娘はジャポニカに書く


あまざかるγ線もご近所の視線も怖い寝床のニート


闇と美の みそひと文字の煌めきを 日がな呟く寝床のニート


青空も夢も乙女もともがらも 二次の彼方ぞ寝床のニート


敷島の大和心を人問はば 國を憂ふる寝床のニート


 *詠題「急転直下」
國防の危機を憂ふる若人が 急轉直下 腐女子に惚れた 


小隊長!高めの靴を履くだけで 美脚になったと思うな貴様! 


非常時にシャドウがチークが何になる戦車で化粧はやめんか中尉


あしひきの山なし落ちなし意味も無し 薔薇を買い来て友と親しむ 


ホモ牛乳 ホモソーセージ ホモ漫画 二十歳の姉は瞳キラキラ


 *「やおい」
闇深し 乙女は知らず いにしへも 受くも攻むるも 男なりけり 

どんなものかしら


  *「湯気の立つ」または「ファインダー越し」、できれば明るく
日曜日クラスでいちばん変なコはファインダー越しひらりら踊る 


  *「雨上がり」または「こらえ切れない」、できればドMに
君のため二本の傘を持ったまま5時間待ったいま雨上がり


  *「忍び込む」または「甘さ控えめ」、できればあざとく
シュガーでもハニーでもない間柄 あなたとわたし甘さ控えめ 


  *「二人きり」または「背伸びをしよう」、できれば色っぽく
手をのばしいちばんやわらかいどこかに二人きりなら触れられたのに


  *「二人きり」または「身を震わせて」、できれば重々しく
重工業地帯の路を二人きり手に手を取りて歩みし未明 


  *「後ずさる」または「夢にまで見た」、できればシンプルに
燃え上がる彼の眼を見て後ずさる 君の未来はわたしじゃないわ


  *「ふわふわと」または「誘い誘われ」、できればえろく
ふわふわとしていない子も抱いて温めれば骨までやわらかくなる


  *「キスをする」または「微笑み交わす」、できればあざとく
神様も知らない場所でキスをする 世界が終わった次の朝には 


「図書館でフーシカデンを読んだのね? だからマスクの子が好きなのね?」


すみれの花さくころ初めて知ったから つかまえたのだカゲキな君を


ぶんぶんぶん こけつまろびつ honey bee 君のにおいに離陸せよ、僕 


メディアでは報じませんが その裏で 校舎の裏で 振られたあの子 


海開き前の浜辺で五月雨に 膝を抱える 低気圧ガール


急に来て「猫背の女の子って好き?」とか聞かれたって答えかねつる 


君の手が ひらりひらりと 去りてのち 指先寒し はよ来い電車

戯れ歌


  *「伸びやかに」または「おとぎ話の」、できれば暑苦しく
キムチ鍋おとぎ話の王子でも真夏はとても食べられないなり


  *「さめやらぬ」または「色恋禁止」、できればさくっと
スナックを サクッとカリッと作るため カルビー社内は色恋禁止


「ともに死なむ」と菅首相に手とられし夢みて覚めぬ電気無き夜に 


「ねえ君さ、泉ピン子に似てるよね? あ、もちろんピン子の、超可愛い版だよ」 


あをによし奈良の都は せんとくんまんとくんにも 染まず漂う 


お土産をよく見ちゃだめよ その裏に書いてあるから"MADE IN CHINA" 


キミちゃんもチヨもヤチヨもザラメ入りの いわゆる苔桃ムースが好きね!


シキシマの 大和心は パン祭り「オ茶漬ケダロ!」ってラモス瑠偉かよ 


とりどりに色めきたるか きゃろらいん ちゃろんぷろっぷ きゃりーぱみゅぱみゅ 


何ゆえのカレーなるかとスリランカ マサラのカラサしばしとどめん 


秋きぬと目にはさやかに見えねどもスマホでググりてウィキペで知りぬ 


白髪の冒険王は 酋長と酌み交わし泣く『悲しき熱帯』 


あいつなら戻って来るぜこの街に 500デニール賭けてもいいぜ


わが庵は都の西北その隣バカだバカだと人は言うのだ!


あしひきのやまどりのをのしだりをのながながしよをひとりえみねむ

万事快調


「おはよう」は終わりへ歩む道のりの 途中の途中の途中の途中


「レシートをお取りください」「レシートをお取りください」引きちぎる夜 


このなつを あきふゆはるを とびこえて 匂ひのしないものになりたい 


モナ王を買った深夜のコンビニに感じたロマンも今は消えたの 


過ぎ去った時間ばかりが美しい 夏の死骸が横たわる空 


生きるのは辛いことだよアイスチョコモナカ無しには耐えられぬほど 


五七五七七ならば嘘だから僕は死んだと詠っても良い


なにものが潜んでいるかシナプスの枝を揺らして秋風は吹く 


夏過ぎて秋来たるらし生ビール 頭の悪い人と思われたい 


ひとはみな美しいもの否定形ばかりでモノを言うなクソ餓鬼


雨の駅 今の電車はモーターの音が昔と違うこととか 


  *「落とし穴」または「着信履歴」、できれば淡々と
あじさいの咲く裏路地のそこかしこ 奈落につながってる落とし穴 


  *「カレンダー」または「手に手を取って」、できれば甘酸っぱく
八月の午後の篠つく雨の中 手に手を取ってゆけばよかった 


ぬばたまの今宵の道の遠ければ 珈琲の川に溺れよスイマー


風を青み区間快速のシートにどよんとした眼の少女たちかな

短歌のようなもの60首

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短歌のようなもの60首

自作の短歌のようなものを、ジャンル別に60首並べました。 詠題があるものについては、『題詠ったー』 ( https://shindanmaker.com/134995 )さんからのご提供です。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-19

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  1. あの子たち
  2. どんなものかしら
  3. 戯れ歌
  4. 万事快調