プロット「のんのんのんと!」

フィクションです!飲食関係、美容や理容関係、リラクゼーション関係、芸能や司会など、比較的需要の見込める技能職の一つのお話。

1)
Aは、○×サービスクリエーターを通じて、
ホテル・レストランでの宴会サービスに就いている。
○×サービスクリエーターは有料の職業紹介所である。
紹介先のホテル・レストランにもよるが、
サービス員としての給料は、たいてい時給1000円から始まり、
最高で1500円まで上がる。
Aは、サービス関係の資格検定等も取得した。

Aのよく就業するホテル・レストランは4箇所ある。
2箇所はシティホテルであり、
1箇所は会議場や多目的ホールを備えた公共の施設であり、
1箇所は150席からなるカフェ兼ビアレストランである。
各ホテル・レストランには、時期によって、
(派遣スタッフを必要とするほどの)仕事量の有る時と
無い時がある。一年を通して仕事があったとしても、
ホテル・レストラン側の派遣スタッフの求人数は、大きく変動する。
また、給料の支払いは、各ホテル・レストランからなされるが、
どのホテル・レストランにおいても派遣スタッフの社会保険適用は難しく、
勤務日数や時間に制限を設けている。
そういう訳で、Aやその他のほとんどのサービススタッフは、
複数の就業先を掛け持ちしている。
午前はこのホテルで勤務し、午後はあのレストランで勤務する
(それぞれは別会社である)、
このような就業も珍しくない。

2)
Bというサービススタッフがいる。
○×サービスクリエーターに登録して仕事を始めて、
まだ数ヶ月の新人である。
このBが、○×サービスクリエーターに対して、
以下のような苦情を申し入れた。
「ある平日の2日間、共に午前11時から午後10時まで、
あるホテルで宴会サービスに就いた。
しかし、サービス員として従事したのは、
共に午前11時から午後4時までであり
(コースメニューのランチ)、
それ以降のビュッフェ形式の宴会では、
午後10時まで洗い場関係の仕事をさせられた。
求人の内容と異なる仕事をさせられたのが困る
(派遣元にも迷惑が掛かる)。
またそういう仕事を続けさせられたために、
サービス員としてのレベルアップを図れない可能性があるのも困る。
当然、サービス員としての給料のアップの可能性も低くなることも困る。
これこれの資格検定の受験資格を得るためには、
しかじかの実務年数と実務時間が必要だが、
その年数や時間に達しないと本当に困る。
ヾ(@°▽°@)ノヾ(@°▽°@)ノヾ(@°▽°@)ノ
何とかして下さい!」

Bは体格の良い男である。見た目にはそこそこの力仕事なども、
難なくこなしてくれそうに見える
(実際、学生時代はスポーツに打ち込んでいた)。
ところで、ホテル宴会場の洗い場は重労働である。
特にビュッフェ形式やバイキング形式の宴会ともなるとそうである。
その2日間は、ホテル側の洗い場のパートさんが足りなくて、
Bの体格を見込んで洗い場の応援を依頼したのだが、、、。

3)
Cというサービススタッフがいる。
○×サービスクリエーターに登録して仕事を始めて、
数年になるベテラン(?)である。
このCの場合はBとは異なり、洗い場関係の仕事に就くことを非常に好む。
重労働である宴会洗い場の仕事に入ることを好む。
その理由はたったの一つ、Cにとっては楽ちんだからである。
(もちろん、上からの指示や依頼が無いのに、
勝手に洗い場に入るということは、しない)。

しかしCは、宴会サービスでは、どのポジションにおいても、
全ての業務をしっかりと遂行することのできるサービス員である。
例えば、披露宴の高砂においては、新郎新婦へのサービスや
その付き添いの補助、招待客席においては、上座のテーブル席への
サービスや馴れない新人スタッフへの補助と気配り、
場合によっては、会場内の照明や音響の調節など、
サービスやそれに関連した進行を全て遂行することのできるサービス員である。

洗い場の仕事は、目の前の下げられた食器を洗い、
片付けることにのみ専念すればよい。
しかし、サービスの場合だと、馴れない新人スタッフへの
補助をはじめ、全体の状況を常に心がけながら、
自分の担当のサービスを行わなければならない。
こういう意味においては、洗い場はCにとって楽ちんなのである。

また、Cは、サービススタッフを始める前は、調理の仕事をしていた。
だから、紹介先が大型のカフェレストランの場合だと、
調理の仕込み補助にも好んで入る。そして、例えば、皮をむいて二等分にした
玉ねぎ一個を、ベンリナーでオニオンスライスにする作業を、
見た目には30秒前後で済ましてしまう。
そのようなペースで延々と作業を続ける。

披露宴会場のサービス員達のてんてこまいを尻目に、
今日もCと洗い場パートのおばさん達は、よく雑談を交わしながら、
汗をかきかき仕事に励む。

4)
Dというサービススタッフがいる。
ある日の夜、Dは中央職業能力開発協会のホームページを見ていた。
いろいろとページを読みながら、将来のことをぼんやりと考えていた。

技能検定(国家資格)へのページをクリックした。
技能検定とは、「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、
国として証明する国家検定制度」と説明されている。
平成28年4月現在112職種の技能検定がある。
残念ながら、Dの職種に関する技能検定は無いようである。

ビジネス・キャリア検定へのページをクリックした。
ビジネス・キャリア検定とは、「職業能力開発促進法に基づき設立された
公的機関である中央職業能力開発協会が行う公的資格試験」と説明されている。
現在、8分野39試験が実施されており、現在のビジネス・キャリア検定試験の
形態となったのは、平成19年度からで、新しい公的資格試験である。
また、よくあるご質問(Q&A)のページには、
「誰でも受験できるのですか?」という問いに関して、
「受験制限は無く、誰でも、どの等級からでも受験可能」と説明されている。
残念ながら、Dの職種に合う試験は8分野39試験には無いようである。
しかし、もしも派遣で生産関係の業務につくのであれば、
「生産管理分野」の試験が良さそうである。
もしも派遣で倉庫・物流関係の業務につくのであれば、
「ロジスティクス分野」の試験が良さそうである。
企業の各業務や各作業は、より細分化専門化され、
業務や作業に関する従業員の希望の尊重は、
ますます大切なこととなっていくだろう。

5)
初音ミクというサービススタッフがいる。
ミクは東峰大学の学生である。
大学の仲間とバンドを組んでいて、キーボードを担当している。
現在は週に2日か3日、○×サービスクリエーターを通じて、
ある大型カフェレストランでホールサービスのアルバイトをしている
(作者注~以前のプロット「流転」の設定の使いまわしです)。

そのカフェレストランは、ビジネス街の中心部を走る
地下鉄のある駅と隣接している。総客席数は120席である。
昼間は洋食とイタリアンを中心としたメニューである。
アラカルトや簡単なコースメニューがよく注文される。
夜はそのようなメニューの延長にある料理を中心としたカフェバーになる。
アラカルトやコースのメニューに加え、
小型のオンテーブルビュッフェのメニューもよく出る。
ビールやそれに合う料理もたいへん多い。
ソムリエを用意するほどの高級店ではなく、
カジュアルなレストランである。

平日は昼も夜も、付近のサラリーマンやOLで大変込み合う。
土日祝日の客の入りは緩やかである。

客席が全て埋まる場合を想定したホールスタッフの構成は
次の通りである。
12席を1人で担当するとして、いわゆるサービスの係り
(オーダーや料理の提供など)が10名。
30席を1人で担当するとして、サービスの補助係り
(お冷、ドリンク、下げ物、席によっては灰皿交換、等)が4名。
キッチンの料理をサービス係りに手配するデシャップが1名。
ドリンク係りが1名。レジ会計が1名。
店長以下、総勢18名が基本の構成である。
全員がハンディターミナルを持つ。
全員が互いの業務をフォローし合う。
皆、トレーサービスも皿盛りのサービスも持ち回りのサービスも、
基本的にはスピーディーに作業できるレベルである。
ただし、客の流れやオーダーされたメニューの種類と数によっては、
やはりスタッフの動きが遅れたりするので、キッチンからの補助も入る。
研修中の新人スタッフの数、20名ほどの小宴会の予約の有無、
サービス方法の種類により(例えば持ち回りのサービスをするかどうかなど)、
サービス員を増やす。

ある日、このカフェレストランに、日本の最難関の国立大学である
E大学の男子学生Fがアルバイトとして入る。
職種はホールスタッフである。週末を中とした週に2日から3日の勤務である。
時給は900円から始まり、1200円まで上がる。

ある日、カフェレストランの経営会社に、ある経営コンサルタント会社の
社員GとHが接近、カフェレストランの運営指導を任される。
GとHは未知の反社会組織(悪魔崇拝者の集まり)のメンバーである。
もちろんターゲットはミクである。
職場の混乱やスキャンダルも企んでいる。
しかし今回は、GとHは、店長と調理長以外の
カフェレストランのスタッフには、その身分を明かさない。
スタッフには単に本社側の従業員としてしか知らされない。

ある日、GとHは店長に次の指示を下す。
「適当な口実を付けて、Fを洗い場に配置換えし、
他のスタッフから孤立させるように。Fのような学生は、
店の士気を乱す可能性が高い。
出る杭は打たれるものだ。これは本社の絶対命令だ。
しかしスタッフには本社や僕たちの名前を口にしないように。
店長自身の判断と言葉でFを洗い場に入れたことにするんだ。
ビジネスとは、厳しいものなんだからね。」
突然の滅茶苦茶な命令に店長は反論するが、
結局は止むを得ず従う。

翌日、店長はFに、今後は洗い場での就業を依頼する。
その理由は、これからの繁忙期、どうしても男手が必要である、
年配の女性のパート1人では心もとない、云々である
(洗い場の面積の都合、そのスタッフは基本的に1名である)。
Fは次の質問をする。
「ホールスタッフは、時給が900円から始まり、
1200円まで昇給すると聴いています。
しかし、洗い場は時給850円から始まり、昇給は900円までです。
僕の給料はどうなりますか?」
店長はFの時給のことをうっかり忘れていたため、言葉に困り、
とっさにホールスタッフの時給で洗い場をしてもらうと、話す。
ここに、このカフェレストランでは前例の無い異様な約束が成立する。

このカフェレストランの洗い場の体制である。
月から金の、昼の営業時の洗い場パートが1人。
月から金の、夜の営業時の洗い場パートが1人。
土日は終日、交代でキッチンスタッフが1人洗い場に入る。
特に日曜は、客の少なさから、洗い場専属のスタッフを入れられない。
(Fによって、木金の夜は2人、土曜はFが1人の体制である)。
洗い場業務を完全に1人で行うことは不可能で、
ホールスタッフも状況に応じて1人補助に入る。
さて、都合で、月から金の夜の洗い場パートが退職する。
ホールやキッチンと等しく、洗い場業務もとても大切である。
新しいレギュラーの洗い場従業員を雇い入れることが、当然、正しい。
その事を店長に尋ねると、「本社の希望や新しい試みで、、、」と
言葉をあやふやに否定する。そして「Fがいるから」と言う。
全く意味不明な店長の言葉である。
Fは学生で、限られた少ない時間しか勤務できないアルバイトである。
このようなおかしな事態が生じたのは、GとHが来てからである。
ミク達ホールスタッフは、何かの策略を予感する。

さて、前述の通り、土日祝日は、このカフェレストランの客の流れは
極めて緩やかである。
昼間の主力メニューの形式はアラカルトや簡単なコースである。
昼間の営業時の、店長を含めたホールスタッフの
基本的な人員構成は総勢9名である。
この9名で全てのサービス、レジ会計、デシャップ、ドリンクの
業務をこなすのである。
来店した客の案内は、極力、上座を中心とした70席の範囲内にする。

これをGとHは次のように強制的に変更する。
人件費削減のため、サービス員のレベルアップのため、
基本的な人員構成を7名にすること。
店内のゆったりとした空間や雰囲気を味わってもらうため、
客同士のプライバシーを守るため、
客の希望を優先して店全体に客を案内すること。

数日後の土曜日の午後、ミク達は異様な体験をすることになる。
GとHの強制に従って、店は運営される。
スタッフが店内を小走りすることは厳禁である。
偶然か、何時もの土日祝日より客の入りが多い
(客を装ったGとHの仲間、さくらが混じっているのである)。
コースメニューがよく注文される。
ミク達サービススタッフの動きに遅れが生じる。
ミク達サービススタッフに負担と疲労が強く圧し掛かる。
何回か、客から苛立ちの声があがる。
たまりかねて、調理長がFをホールに出そうと行動を起こす。
洗い場近くの席で店内を監視していたGとHが、とっさに調理長を止める。
しかしどうにかして、ミク達は、無事に昼間の営業をやり遂げる。

この土曜の昼間のFの勤務状態について。
勤務時間は午前10時から午後6時である。
もちろんFは、動きが遅れて乱れたホールスタッフを心から心配して、
自ら勝手にホールに飛び出そうとしたのである。
しかしGとHがそれを許さない。
その結果、Fが仕事らしい仕事をしたのは、
下げ物が順次下がり始めた午後1時半から4時半のわずか3時間である。
それ以外の時間は、シルバーやグラスや皿を二度拭きをさせられたり、
洗い場の隅の掃除をさせられたり、
はっきり言うとその時間帯にはふさわしくない、
どうでもよい作業ばかりさせられたのである。
時給には相応しくない作業ばかりさせられたのである。

悪魔崇拝者のGとH。
カフェレストランのスタッフが、特に女性スタッフが、
負担にあえぐ状態を見て満足を感じる、
極めて歪んだ性癖の持ち主である。

さて、この土曜日の昼間の出来事から、
一見すると、GとHがその悪意ある策略において、
カフェレストラン側に勝利したかのようである。
しかし、数日後には、GとHは敗北したのである。
GとHは、土曜日の昼間のより良い営業のために、
その改善点として次の4点を挙げた。
スタッフの人件費を削減すること。
スタッフのサービスのレベルアップを図ること。
客に店の雰囲気をより楽しんでもらうこと。
客のプライバシーをより完全に保護すること。
そこでミク達スタッフは、例えば、
「スタッフのレベルアップを図ること。」について、
その具体的な内容を考えてみた。
最も権威ある料飲関係の資格検定テキストやその他の技術書を参考に、
スタッフの客に対するサービスの一連の流れの分析、
スタッフが担当する客数、レストランや宴会場の本来のテーブル配置、
効率よくサービスを行うためのワゴン等の利用、
その他様々な事柄について調べ上げた。
その内容を、正確なイラストを添えて、12000字程のレポートにして、
GとHに提出した。
すると、「スタッフのレベルアップを図ること。」のための、
GとHの言う具体的な内容、スタッフに対する要求は、
単なる思い付きの(しかも、出鱈目の)内容であることが分かった。
このようにして、GとHの要求は全て取り下げられたのである。

(完)

プロット「のんのんのんと!」