「ガーデンウォッチング」

犬棒あたる 作

 仕事をやめて、家で療養生活をするようになってから、コーヒーを飲みながら庭を眺めるのが習慣になった。
まず、朝の点滴注射が終わると一段落。ホッとしたところで午前中のコーヒータイムになる。私に甘いコーヒーを出すと、妻は庭に出る。花いじりが始まった。私は掃きだし窓にあるマッサージチェアから、その様子を見ているのが好きだ。歩けないので一緒に園芸をすることは出来ないが、こうしていると自分も庭にいる気分になって楽しい。
少したって妻が家の中にはいる。それでも私はしばらく庭に目をやっている。見えるからだ。息子たちが賑やかにバーべキューをしているのが。幼い孫が溝を掘り花びらを流しているのが。さらに見えるからだ。花壇の土に眠っている愛犬までが仔犬の姿で、ころころ駆け回るのが。
 午後の訪問マッサージが終わると、二回目のコーヒータイムになる。リクライニングチェアに座って別の窓から外を見る。簡易バードウォッチングの特等席だ。れもんの木やブルーベリーに小鳥がやって来る。妻はウグイス、メジロ、シジュウカラなど小さくて綺麗なものを好む。ヒヨドリ、オナガはまあまあで、カラスを嫌う。カラスは大きすぎるし、強すぎる。私は何でも構わないが、いつもは雀をみている。一年中いるし、姿、動作が愛らしい。彼らと仲良しになろうとして、屑菓子を庭に撒いてやることにした。
雀にも性格の違いがあって面白い。臆病なのもいれば勇敢なのもいる。甘えっ子もいれば意地悪もいる。素早いのもいれば鈍いのもいる。ところで、特効薬入りのツツ゛ラを背負った雀はまだかなァ。
最近三羽家族が来る。ママと、パパと、チュンコだ。小雀は体を小さく震わせながら食べ物をねだっている。ママは口移しに忙しい。パパも邪魔な雀たちを追い払っている。おなかいっぱい食べて眠くなったのかチュンコは動かなくなった。少し待ってから、ママは屋根までおいで、と誘ったが、うまく飛べず生垣の藪に入ってしまった。あわててパパとママが後を追った。
私達は可愛いい孫のいる息子の家庭を想い描いて笑った。
今日も楽しかった。病気を忘れてささやかなハッピータイムを持てた。
 さて、「ガーデンウォッチング」はこのへんにして、ベッドで一休みしたら夕飯だ。その後は眠れないと困るからコーヒーはやめて、番茶にしよう。そして、テレビウォッチングだ。
2016年5月30日

「ガーデンウォッチング」

「ガーデンウォッチング」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2016-07-12

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